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レモン栽培での剪定について教えてほしい

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レモン栽培での剪定について教えてほしい

これまで柑橘類を中心に果樹を栽培してきましたが、知人の農園を譲り受けることになり、レモンの観光農園をはじめようと考えています。

レモンは栽培したことがないのですが、他の果樹と同じように剪定が必要だと聞きました。

大まかな流れは理解しているのですが、間違えたくはないので、レモンの剪定方法について教えていただけないでしょうか。

とくに、剪定する時期などを詳しく教えてほしいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

レモン栽培では3月に剪定をして開心自然形(半球形)を目指そう

レモン栽培で剪定をする目的


レモンは他の果樹と同様に剪定をする必要があります。剪定する目的を把握して、適切な剪定をしましょう。

レモンの木を管理しやすくするため


レモンの木は放置していると、3メートル以上の高さまで生長しますが、木が高くなりすぎると農薬散布や剪定、収穫などの作業がしづらくなります。

そのため、剪定をしてレモンの木を作業がしやすい高さや広がりに抑え、管理をしやすくします。

最適な株間の間隔についてはこちらをご覧ください
レモン栽培で株間はどれくらい空けるべき?




実のつきを良くするため


レモンの木を剪定しないままでいると、木が生い茂り、枝や葉の生長に栄養が偏ってしまうこともあります。その結果、レモンの実のつきが悪くなり、収穫量の減少にもつながります。

レモンの収穫量を減らさないためにも、剪定をして樹勢のコントロールを行いましょう。


風通しをよくするため


剪定をせずに枝葉が混み合っている状況だと、風通しが悪くなり病気の原因になります。また、薬剤の散布においても、枝葉が邪魔をして、薬剤がかからない部分がでてきます。

さらに、枝葉が日光を遮って、下層まで日が届かず健全な木が育たなくなるとともに実のつきも悪くなる可能性もあります。

そのため、レモンの木は剪定をして、健全に育つ環境にする必要があります。

暴風対策についてはこちらをご覧ください
レモン栽培に適した気候について知りたいです



レモンの剪定時期


レモンの木は3月に剪定する


レモンの木は3月頃に剪定をしましょう。

暖かくなるとレモンの木が生長していくため、厳冬期を過ぎて暖かくなり始める春先に剪定をすることで、レモンの木への影響を少なくできます。

暖かくなってくるとレモンの木が生育を始めるため、剪定による木への影響が大きくなり、木を傷めてしまいます。

剪定をするのは3月頃が最適ですが、レモンの木が傷まないようにできるだけ4月の早いうちに終わらせるようにしましょう。


真夏や真冬に剪定をするのは避ける


レモンの木を剪定する時期で避けるべきなのは、真夏と真冬です。

真夏や真冬の時期は、高温や低温の影響でレモンの木が弱っている可能性があります。

そのため、レモンの木が弱っている時期に剪定をしてしまうと、レモンの木をさらに傷めてしまう恐れがあり、栽培に悪影響がでてきます。

木が弱ってしまったため病気を誘発したり、枯れてしまったりする可能性もあるため、真夏や真冬には剪定を行わないようにしましょう。


1〜2年目の木は剪定しない


1〜2年目のレモンの木は、剪定をする必要がほとんどありません。この時期は、木の形を整えるように心がけましょう。

あまりにレモンの木が高くなりすぎたり、病害虫の被害があったりする場合に枝を切る程度で大丈夫です。

ただし、枯れ枝などがある場合は除去するようにしましょう。

一般的にレモンの木は、3年目以降から剪定を始めていきます。


レモンの剪定方法


開心自然形(半球形)を目指して剪定する


レモンの剪定では、木の形を「開心自然形(半球形)」と呼ばれる形を目指して整えます。

「開心自然形(半球形)」は、縦方向に伸びる太い主枝を3本ほど選んで伸ばしていく剪定方法です。

主枝は縦に伸ばしすぎず、管理のしやすい高さになったら主枝から発生する亜主枝を横に伸ばしていきます。

その結果、樹高が高くなりにくく栽培管理や収穫がしやすい樹形となるため「開心自然形(半球形)」を目指して剪定していく事がおすすめです。


枝葉が混み合っている箇所を切る


レモンの枝を剪定する際のポイントは、枝葉が混みあっている箇所を切ることです。

剪定はレモンの木をより健全にしてレモンの質や収穫量を高めるためにおこなうので、枝葉の重なりを抑えて風通しがよくなるように枝葉を切っていきます。


枝を切りすぎないように注意する


レモンの木を剪定することはレモン栽培において大切な作業ですが、枝を切りすぎてしまわないように気をつける必要もあります。

レモンの木を切りすぎてしまうと、レモンの木へのダメージが大きくなってしまい、生育や収穫量に悪影響がでるとともに、ひどい場合は枝や木が枯れてしまうことも考えられます。

そのため、レモンの剪定で枝を切る目安は、全体の1〜2割ほどにするのがおすすめです。

1年で一気に理想の形にするのではなく、毎年、剪定をするごとに少しずつ理想の形へ近づけていくようにしましょう。

剪定作業以外のレモンの栽培方法についてはこちらをご覧ください
レモンの栽培方法について教えてほしい



レモンに適した剪定を理解してレモン栽培に活かそう


レモン栽培では、毎年3月頃剪定をしてレモンの木を整えていきます。

剪定は、レモンの木を健全にして管理をしやすくするのが目的なので、真夏や真冬に剪定をしてレモンの木を傷つけないようにしましょう。

また、剪定では「開心自然形(半球形)」を理想の形として、枝葉を整えるように剪定します。1年で大きく剪定しようとせず、枝の切りすぎに注意しながら毎年少しずつ理想の形になるように剪定していきましょう。

レモン栽培に関する剪定の知識を深めて、レモン栽培を始めてみてはいかがでしょうか。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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