三重県で高校を卒業してから、水稲栽培を営み50年になります。
使用している農地が市町村の合併により「特定市街化区域農地」となってしまいました。
特定市街化区域農地になると、土地の価値の評価方法が住宅地と同じ扱いで評価されてしまうので、課税も宅地並み課税になってしまいます。
そのため、固定資産税が高くなり、残念ながら農業で出た利益がマイナスになってしまっている状況です。
稲作は、私が三代目です。
農家の歴史を私の代で終わらせたくないという思いで、なんとかいままで続けてきました。
私の姿を見てきたからなのか、40代になる息子は「最悪、一部の土地を手放してでも農業を続けたい。後を継がせてくれ」と言ってくれています。
とはいえ、このような状況のまま安易に継いでもらうわけにはいきません。
いい税金対策はないものでしょうか。わらにもすがる思いで相談させてもらいます。
(三重県・浜口さん/仮名・60代)
田中寛子
税理士・永光パートナーズ
まず市役所に行って現状を確認し、打開策を考えましょう
合併によって特定市街化区域農地となってしまったわけですが、その際に、市町村の方から生産緑地の指定を受けるか否かの意向調査があったかと思います。
生産緑地の指定を受ける選択をしなかった場合、その後5年の時間をかけて段階的に「宅地並み固定資産税」まで引き上げられてしまいます。
公表されている資料によれば、特定市の市街化区域農地では生産緑地の指定を受けているか否かで固定資産税額の負担は100倍違いますので、経営にかなり大きく影響していることと思います。
息子様が後を継いで四代目になりたいという意思があるのなら、生産緑地の指定を受けられるかを確認してみて下さい。
まず、農地のある市役所の「都市計画課」に、生産緑地の追加指定を行っているかを確認して下さい。生産緑地の追加指定を行うということであれば、面積などの要件(条件)をみたせば生産緑地の指定を受け、固定資産税の課税方法は農地課税となります(面積要件については市の条例で300平方メートルまで引き下げられている場合があります)。
一方で、市が追加指定の必要なしと判断している場合には、残念ながら固定資産税を減額することは難しいかと思います。しかし、所有者から市の「課税課」へ、来年度以降の固定資産税について現況確認を申し出て、今までの課税内容に間違いがなかったどうかの確認を受けることができます。
ただ、現況が今までとまったく同じであると、減額される要素は少ないと思います。