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「2022年問題」とは?固定資産税が増えない方法を教えてください

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「2022年問題」とは?固定資産税が増えない方法を教えてください

都内で小規模な野菜農家を、私と妻の2人で営んでいます。

同居している一人息子はいますが、会社勤めで仕事が忙しく、農家を引き継ぐつもりもないそうです。

私も妻も、もうすぐ80が見える年になりました。子供の学費や年金の足しになればいいなという思いで、これまで農業をやってきましたが、それも大変になってきたので、規模を縮小しようかと考えています。

自分たちが食べるだけの野菜は作り続けようと思っていますが、それもいつまで続けられるか。

そんな中、ご近所さんから「2022年問題」というのがあり、私の農園にも関係しているのでは?ということを聞きました。

ご近所さんからは「30年間、農地として土地を維持する代わりに、固定資産税や相続税の優遇が受けられる生産緑地(生産緑地法で定められた土地制度)が、1992年の施工から2022年で30年を迎えるので、税金の優遇が受けられなくなる」と言われました。

確かうちも生産緑地だったかと思います。ですが、「2022年問題」とはどういうものなのでしょうか?

私の家にどんな影響があるのか、そして固定資産税が増えるのを防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。
(東京都・林さん/仮名・70代)

田中寛子

税理士・永光パートナーズ

税金、相続などに影響があるので、市役所や税理士に相談を

生産緑地とは、「生産緑地地区」として指定された、市街地や今後市街地にする予定の区域内にある農地のことです。

生産緑地の指定を受けると、
・固定資産税や相続税等が優遇される

・住宅地へ転用・賃貸・建築・造成などをすることができない

・一定期間、農業経営を続けることが義務づけられる

・指定が解除されると、市町村に土地の買取を申し出ることができる
のような影響があります。

生産緑地の指定が解除されるのは、指定を受けた日から30年が経過したとき、などの条件があります。ほとんどの生産緑地が1992年に指定を受けているので、2022年でちょうど30年を迎え、多くの土地が指定を解除できるようになります。

そうすると、多くの生産緑地が住宅地になってしまう可能性があり、不動産市場が混乱するのではないかと危惧されていました。

しかし、2017年に生産緑地法の改正が行われ、生産緑地の指定から30年を経過する日より前に、「特定生産緑地」の指定を受けることができるようになりました。

特定生産緑地に指定されれば、自治体に買取りの申し出ができる時期を10年先送りでき、さらに10年ごとに更新が可能となります。この場合も、固定資産税や相続税などの優遇を受けることができます。

もし、特定生産緑地の指定を受けずに、生産緑地の指定が解除された農地は、固定資産税が高くなり相続税の優遇も受けられなくなります。(自治体により税金の負担額は異なります)

現在、生産緑地の指定を受けている農家さんは
1、「特定生産緑地」として引き続き農地として運用する

2、「生産緑地」の指定を解除し、宅地として活用する

3、「生産緑地」の指定を一部(20%以下)だけ解除する
を検討してみましょう。

ご自身の健康状態やご家族の状況を踏まえ、今後、農業を続けるかどうかを考える必要があります。続けることができる場合は、特定生産緑地の指定を受けましょう。

もし、続けることが難しい場合は、2か3を検討する必要があります。指定を解除すると税金の負担が増えてしまうので、慎重に検討しなければなりません。

生産緑地の指定解除は、原則として所有するすべての生産緑地が対象となりますが、市町村によっては、一部のみを解除することができます。

また、相続税を捻出するために、生産緑地を売却したいという場合も、一部だけ指定解除をするという方法があります。なお、売らなかった生産緑地は相続税の納税猶予(納税を先送りできる)が適用されますが、生産緑地以外の農地(猶予適用農地等)と合わせて、全体の20%以下の面積である必要があります。

もし、20%を超える面積を指定解除した場合は、納税猶予が打ち切られてしまうだけでなく、相続税を利子とともに納付することになり、大きな負担となってしまうのです。また、指定を解除した後に残る面積が、市町村によって決められた生産緑地の下限の面積を下回る場合には、一部だけの解除は認められませんのでご注意ください。

いずれにせよ、難しい判断になると思いますので、税理士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。

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A.B.先生

農業経済学が専門の大学の名誉教授

新しくできた「特定生産緑地制度」の活用も考えてみてください

特定生産緑地制度が開始された1992年は、宅地需要が盛んな時期でした。しかし、2020年代は宅地需要の減少が見込まれています。

三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)の市街化区域内(市街地や今後市街地にする予定の区域)にある農地は24,306ヘクタール(243.06平方キロメートル)と、相当な広さになります。この中で12,901ヘクタール(129.01平方キロメートル)、およそ5割が生産緑地で、その中の8割が2022年に指定後30年を迎えます。

そのため、生産緑地指定の制限も少し緩和されました。
・これまで500平方メートルの面積が条件だったが、市町村の一定基準のもと、300平方メートルに引き下げ
・生産緑地内に設置できるのが、農業用施設以外にも、生産・出荷施設、資材の貯蔵・保管倉庫、農産物直売所、農家レストランなど製造・加工・販売施設も設置できるようになりました。

まずは、所有する生産緑地ごとに、「指定告示年月日」(農地がある自治体の都市計画関係課)の確認、相続税納税猶予制度の適応の有無(農地がある自治体の農業委員会もしくは管轄の税務署)を確認し、「特定生産緑地制度」の指定に向けて、前向きに家族で話し合ってみてください。

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