大阪府の千早赤阪村で農業を営んでいます。
主にほうれん草としいたけの栽培を行っており、管理面積は全部で50アール程度です。
その内、30アールでほうれん草をハウス栽培しています。
ほとんどのほうれん草は高床栽培しており、川砂を床土として利用しています。
砂系統の床土は連作障害が発生しにくく、液肥による施肥調整も簡単にできますが、一方で、水はけが良すぎるためか、夏場は過潅水になるくらい水やりをしなければなりません。
夫婦2人で営んでいるため、1~2時間に1度の水やり作業は手間と時間がかかり、けっこう大変です。
そこで、川砂に代わる、保水力のある床土に変えようと模索しているのですが、おすすめの床の用土はないでしょうか?
(大阪府・戸村さん/仮名・60代)
北田 悠
悠々ファーム 代表
床土は変えず、散水システムの導入を検討してみましょう
おすすめの床の用土をお探しということですが、本当に困っているのは「頻繁に散水しなければいけない」という点を踏まえて、お答えさせて頂きます。
対策としては、2つが思い浮かびました。
まずは、「保水力を上げる」方法です。
川砂は保水力が低いため頻繁な散水が必要になっているかと思います。おっしゃる通り、保水力が高い培地に変更すると、潅水の手間は大幅に削減できるかもしれません。
しかし、川砂のメリットも失われてしまいます。
第一に、川砂は安定していて、土壌成分が変わりにくいこと。
次に、収穫時、根の周りに土が付きにくく、簡単に収穫できること。
最後に潅水をしなければ、土壌水分量を下げる方向にコントロールしやすいことです。
これらのメリットと保水力の低さを天秤にかけた時、今まで通りの栽培方法から大幅な見直しが出てくると思います。
そこで、2つ目に紹介する「システムの導入」の方が良いのではないかと思いました。
頻度を高く、少量だけ潅水出来るシステムを導入すると、保水力不足の改善は行えます。
タイマーや日射量、土壌水分等によって、潅水するシステムは各社より販売されています。
これであれば、今まで通りの水、肥料を使った栽培を続けつつ、省力化が可能です。
川砂にもメリットがあります。
メリットを生かしつつ、省力化を図るためには、散水の省力化が良いのではないかと考えております。