新潟で野菜農家をしている40代前半の主婦です。
就農6年目になって、やっと農業について理解ができてきました…。
農協との上手な付き合い方もそのひとつです。
栽培している野菜のひとつにトマトがありますが(夏季の収入の結構な部分を占めています)、今年、農協から普通の倍の価格で出荷できるトマトの栽培をすすめられました。
試作なので苗代がかからないため挑戦していますが、まだ収穫前なので味見ができていません。
しかも、できあがってからもA品しか取り扱ってくれないようです。
A品にうまく育つかどうかが何よりも心配です。確実にA品に育てあげる栽培のコツは何かありますか?
現在普通に栽培しているトマトでは、そこまで意識して栽培していなかったので…。
(新潟県・高田さん/仮名・40代)
T.Mさん
ベテラントマト農家
栽培のコツはないけれど、「売るコツ」はあります
今回、相談者さんに農協がすすめてきた「値段が普通の倍の価格のトマト」というのは、おそらく水切りトマトかデザートトマトと推測されます。
そうだとしたら、これらのトマトは通常品種よりも育てるのに手間がかかったり、特殊な方法で育てたりすることが多く、作り始めてから数年くらいは慣れるのに苦労をすると思います。
また、品種によって適した育て方が異なるし、マニュアル通りに心を込めて栽培したとしても出来の良し悪しが天候に左右されたりするので、栽培のコツに対するアドバイスは難しいですね。
そのトマトをすすめてきた農協の指導員に栽培法をレクチャーしてもらうのが良いでしょう。
ただ、ひとつだけアドバイスできるとしたら、トマトが夏期の収入の大半を占めているようですし、もし今年たまたまA品がつくれて高く売れたとしても、全体を切り替えてしまわないように。
先ほども申し上げましたが、そうした特殊なトマトを安定して供給できるようになるには数年を要します。不作となった年に路頭に迷いかねません。
また、不安なのは、相談者さんが来年もその特殊トマトを栽培するとして、また農協から「A品しかいらない」と言われた場合です。
たとえトマトを長年育てている人でも、その年によってB品がたくさんできてしまったり、B品だと思って選果してもらったらB品にもならずに規格外になってしまったりするなど思い通りにならないことがあるので、本格的に栽培を始める前にA品以外のものも買ってもらえるように交渉してみてはいかがでしょうか。
そうしないと生産者ばかりが割を食う結果になってしまいます。
それと!もっとも大事なのは、今年A品が取れたら、そのノウハウを来年にも活かせるようにしっかりと記録しておくことです。
ノウハウを毎年蓄積していけば、農協から「B品でも良いからほしい」とお願いされるようになり、いつか立場も逆転するはずです。