福島県で夏秋きゅうりを中心に露地栽培しています。
できるだけ農薬を使いたくないので、害虫対策として網目1ミリの防虫ネットで囲い、殺虫剤の使用を減らしています。
しかし、害虫は防げていても、べと病やうどんこ病などは防げません。気をつけてはいますが、病気なので防除することは難しいです。
病気は雨の後に広がるケースが多いので、それを意識して雨の後にはしっかりと殺菌剤をまいています。
しかし、それでも効果があまり感じられませんでした。
もしかすると防虫ネットの影響で湿度がこもってしまうからなのでしょうか。
でも、できるだけ農薬は使いたくないですし、防虫ネットも止めたくありません。
先輩に相談したところ「殺菌剤は雨が降る前に、殺虫剤は雨の後に。じゃないと効き目がないよ」と言われました。それは本当なのでしょうか?雨の前にまいたら流れて効果が薄いのではないでしょうか?
とはいえ、雨の前にまくことで土の中に染みて病原菌に効果があるような気もします。
殺菌剤を撒くタイミングを教えてください。
(福島県・多田さん/仮名・30代)
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
農薬散布後に薬液が乾いてしまえば、降雨で薬剤が流されることはありません
まずはきゅうりのべと病やうどんこ病の特性をそれぞれ確認します。
べと病の感染には水滴のある条件が必要とされています。うどんこ病は空気中からでも容易に水分を取り込むことができるため、水滴がなくても湿度が高いと発病してしまいます。
ご相談者様は降雨の後に殺菌剤を散布するとのことですが、降雨により葉面が濡れた状態にあると感染しやすくなります。
さらに網目1ミリの防虫ネットは風通しが悪くなると考えられますので、葉面が濡れた状態の期間が長くなります。
つまり降雨後の散布ですと、すでに菌糸が植物に侵入してしまっている可能性があります。
感染してからですと、予防剤といわれている殺菌剤(ダコニール1000、キャプタンなど)の効果は期待できません。
そのため、降雨後の散布は避けた方が無難です。
べと病の多発時期には降雨の前後、それ以外の時期には降雨の前に行うのが理想的で、 薬剤は葉裏にも十分付着するように散布してください。
一般的に農薬を散布して薬液が乾いた後、6時間(理想的には一晩)以上たっている場合には、その後の降雨で薬剤(有効成分)が流されることはほとんどありません。
殺菌剤が雨で流れてしまうと心配されているようですが、ご安心ください。
また、べと病菌もうどんこ病菌も多くの薬剤に耐性(抵抗性)を持ったものが報告されていますので、同じ系統の薬剤を多用しないでください。
もしも効果があまり感じられなければ、耐性を発達させた菌かどうかを疑う必要があります。
その場合は、県の病害虫防除所や農業試験場(農業総合センター)に相談してください。