うちの農園では、40年以上にわたって家族で和梨を作っています。
梨は全国的に栽培されている人気の高い果樹ですが、病気に弱く、ひとたび被害を受けると近くの農園にまで被害が及んでしまうこともあります。
そのため、花が咲いた後から収穫が終わるまで、毎週のように種類の違う農薬を散布して防除しなければなりません。
農薬は水で希釈して使うものがほとんどなので、散布したすぐあとに雨が降ってしまうと効果が薄くなってしまいます(パッケージにも雨を避けてくださいと書かれています)。
毎回、お天気情報とにらめっこして雨が降る前のタイミングを避けようとするのですが、ちょうど梨の実が大きくなるのが梅雨の後というタイミングなので、たまに農薬を散布した後に雨が降ってしまうこともあります。
そんなとき、うちでは「散布した農薬が乾いていればセーフ」と判断しているのですが、その決断は合っていますか?
また、散布した直後に土砂降りに遭ってしまうこともあるのですが、こういう場合はもう一度散布しなおしてもいいのでしょうか?
(埼玉県・田中さん/仮名・70代)
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
再散布しても問題はありませんが、使用回数の上限を超えないよう注意を
まずは、できるだけ気象情報をまめに確認して散布計画を立ててください。
とはいえ、私も以前は、大規模な航空散布を行うときなどに見切りで散布を始めたりもしていましたので、相談内容にあるような「予想外の雨に見舞われてしまう」といったことがよく起こっていましたよ。
「もう一度散布しても問題ない?」という質問への回答としては「散布してもいいけれど、流れた分も含めて、使用回数は超えないようにしましょう」となります。
たとえ雨で流れてしまったとしても、農薬使用回数はゼロにはなりません。
つまり、流れた分も1回としてカウントする必要があります。
そのため、もし流れてしまったのと同じ種類の農薬を撒くのであれば、ラベルに記載されている使用回数の上限を超えないように気を付けてください。