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軟腐病(なんぷびょう)の症状と原因を教えてください

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軟腐病(なんぷびょう)の症状と原因を教えてください

葉野菜を中心に栽培をしている新米農家です。まだ就農して数年ですが、試行錯誤しながら作物を生産しています。

しかし昨年、育てた野菜たちが病害にあい、出荷できなくなってしまいました。

どうやら軟腐病が原因だったようで、隣の畑の農家さんも以前被害にあったことがあるようです。

今後、軟腐病にかからないようにするために、原因を教えていただけないでしょうか。

李 哲揆

データサイエンティスト

軟腐病は細菌性の病気で、発症すると地際の葉から変色・軟化しはじめ、悪臭を放ちます

軟腐病の主な症状



軟腐病は細菌性の病気で、数多くの花菜類に寄生します。

軟腐病は発症すると、地際部が水に浸ったようにドロドロに軟化しはじめ、悪化すると濃褐色に変色したり空洞化を起こしたりして、最終的には株全体が枯れてしまいます。

軟腐病は独特の悪臭を放つのが大きな特徴です。腐敗に加えて悪臭がしたら、軟腐病の可能性が高いでしょう。

また、冷蔵庫でレタスや白菜を長期間保存していると、切り口がヌルヌルして臭くなることがあります。これも軟腐病の病原菌が原因で、貯蔵や輸送時にも影響がある厄介な病気です。

軟腐病の原因


軟腐病は細菌性の病気であり、病原菌(Pectobacterium carotovorum)は主に土壌中に存在しています。

軟腐病菌は生存力が高く、土壌中でも3年以上は生存すると言われています。この病原菌が根や葉にできた傷口から入り込むことで感染・発病します。

そのため、土壌中の窒素や水分過多や食害などにより作物が弱っていると、病原菌が侵入しやすくなります。


水が感染媒介になりえる


軟腐病菌で汚染された剪定ばさみやアブラムシなどを介して他の作物にも感染します。

さらに、スプリンクラーや頭上潅水などで、飛散した病原菌が作物の葉に付着することが感染の原因となる可能性があるので、注意が必要です。

軟腐病が発症しやすい条件


軟腐病菌の生育に適した温度は30〜35度であるため、6〜10月の高温多湿期によく発生します。

したがって、以下のような条件だと発症しやすくなります。

・夏など比較的高温の時期に降雨が続いたとき
・土壌が水分過多のとき
・台風や強風などで作物に傷が生じているとき
・特に夏に降雨の多い年や晩秋から冬にかけて温暖多雨な年には発生が多い


軟腐病にかかりやすい作物


軟腐病は、植物内の組織が比較的かたい樹木では発生せず、組織が柔らかい野菜や結球野菜に多発します。

野菜では、大根、白菜、キャベツ、カリフラワー、レタス、ショウガ、セルリー、パセリ、ネギ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、トマト、ピーマン、チンゲン菜、小松菜、ニラ、カブ、にんにくなど。

花卉類ではランやシクラメン、カトレア、カラー、ユリ、クリスマスローズなどが挙げられます。

軟腐病の予防方法についてはこちらをご覧ください
軟腐病(なんぷびょう)の予防方法を教えてください

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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