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ピーマン栽培を初めて行うが、間引くのはどのタイミング?

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ピーマン栽培を初めて行うが、間引くのはどのタイミング?

初めてピーマン栽培に取り組む予定です。

以前別の作物で、確認せずに栽培を始めて間引きが遅れたことがあり、一部の株に生育不良を起こして後悔しました。

そこで、今回はちゃんと調べておきたいです。

ピーマンの間引きタイミングや、詳しいやり方を教えてください。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ピーマンのポット苗なら本葉2~3枚頃を目安に、必ず間引きをしましょう

ピーマンの芽を間引きするのはなぜ?


植物の栽培において、多くの種子を一緒にまくと、生長していく段階で隣どうしの葉が重なり合ってきます。

そのような状態を保持しておくと各々の苗に養分が分散して、大きな健全な苗に育ちません。

そこで、隣どうしの葉が重なり合わないように、いくつか取り除く「間引き」は重要な作業で、ピーマンも例外ではありません。

特に育苗時期の芽の間引きは、日光や栄養などを1つの芽に集中させることで、よく実の付く健全な苗に育てるポイントとなります。

間引きをしないとどうなる?


それでは間引きをしないとどうなるのでしょうか。

ポットやトレイの中に多くの芽を残したままでいると、十分な水や栄養が行き渡らず、徒長苗(とちょうなえ=ひょろひょろとして弱く倒れやすい苗)などの生育不良苗になりやすくなります。

さらに風通しが悪く、日光も当たりにくくなります。苗が密集していると湿度が高くなり、畑全体の病害虫の発生リスクも高まります。


間引きのタイミングが遅れるとどうなる?


間引きをしないだけでなく、タイミングが遅れてしまうことでも生育に悪影響が現れます。

伸びすぎた根どうしが地中で絡んでしまうと、間引き作業自体が難しくなります。

残す芽の根を傷めてしまうことは避けたいところです。

また植え付け後に花や枝葉を間引く作業も重要です。うっかり対応が遅れてしまわないよう、栽培を始める前にタイミングをチェックしておきましょう。


ピーマンの間引きのタイミングと手順


それではピーマンの間引き作業のタイミングと、具体的なやり方を紹介しましょう。

トレイやポット植えの苗の場合は「本葉2~3枚」の頃が目安


まず育苗期は芽を1段階、もしくは2段階で間引きましょう。ここでは2段階のやり方を説明します。

発芽後に最初に展開する2枚の葉が「子葉(しよう)」で、その後に現れるの葉が「本葉(ほんば)」です。

トレイやポット植えの苗の場合は、以下の段取りで芽を間引きましょう。

1、「最初の本葉が展開した時点」で2本を残し、あとの芽はすべて間引く(=2本立ち)
2、次に「本葉2~3枚」を目安に、芽を1本にする(=1本立ち)


地植えの苗の場合は「本葉3~4枚」の頃が目安


容器植えと地植えとではタイミングが異なります。

容器植えのほうが限られたスペースで生長するため、早めになると覚えておきましょう。

比較的広いスペースがある地植えの場合は「本葉3~4枚」が最適なタイミングです。この1段階で1本立ちにしてください。


間引きのやり方


残す芽を判断するポイントとして、葉の色や節の間隔を確認してみると良いでしょう。

葉の色が濃く、上下の葉の間(節の間隔)が詰まっている苗が健全に育っている苗です。

一方、茎がひょろひょろと間延びしてしまっている苗(=徒長苗・とちょうなえ)や小さすぎる苗は、残しても健全に育ちません。

小さな芽なので、根が絡まっていなければ、指でつまみ上げるだけで引き抜けます。

他の根と絡んで抜けない場合は、その芽の株元にハサミを入れてカットしてもかまいません。

小さなポットから間引いて残した芽は、一回り大きなポットに移してください(=鉢上げ)。


間引くときのコツと注意点


間引くときはできるだけ根に近い箇所をつまみ、やさしい力で上方向に引き上げてください。

根を傷めないように注意するのが第一です。

根が混み入っている場合は、ピンセットなどを使っても良いでしょう。


ピーマンの枝葉や花を間引く作業も重要


ピーマンは育苗期の他に、苗を植え付けた後にも花や枝を間引くタイミングがあります。

1つの株が長期間にわたって繰り返し実を付けるために必要な作業なので、忘れずに対応しましょう。

花を間引いて生育を調整する「摘花(てきか)」


まずは「摘花(てきか)」という作業が重要です。

未熟な状態の果実を若穫りするピーマン栽培では、生育の前半で花を間引くことが、栽培期間全体の収量に関わります。

畑へ植え付ける(=定植)のは一番花が咲く3~4日前が目安です。

つまり一番花が咲く頃のピーマンは、まだしっかり地中に根を張って(=活着して)いません。

生育不良の株では、定植直後のまだ若い株が一番花をそのまま開花・着果させてしまうと、株にとっても負担となります。

したがって、今後の生育を良好にするためにも、生育不良の株の一番花は、果実になる前に取り除きましょう。

また、この時、花の下にあるわき芽もすべて摘みます(=わき芽かき)。

その後も株の生育を良好にし、着果を安定させるためには、二番花、三番花を摘花しても良いでしょう。

株の生育状況を見ながら判断してください。

わき芽の管理方法についてはこちらをご覧ください
ピーマンのわき芽の処理方法は?コツや注意点も知りたい



不要な葉を間引く「摘葉(てきよう)」


特に生い茂ってきたタイミングでは、不要な葉を間引く「摘葉」も必要です。

摘葉は整枝(花や果実が付きやすいようにするため、木の不要な枝や葉をカットすること)・誘引(植物の成長の方向を調整するために枝を引っ張る作業のこと)の一環として行います。

古い葉や、日光の妨げになっている葉は取り除いてください。

ただし一気に大量の葉をカットしてしまうと株に負担がかかるほか、光合成量の低下につながってしまいますので注意しましょう。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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