ショウガが青枯病になるとどのような症状が出るのか？また、対策方法について知りたい

YUIME Japan編集部 / 2023.05.19

分析・管理

#ショウガ #野菜作

文字サイズ

拡大標準

これまでさまざまな野菜を栽培してきましたが、これからは自分が好きな作物を作ろうと思い、まずはショウガの栽培を考えています。

昨年ナスを育てていた際、青枯病になってしまい、大きな損害がでてしまいました。

ショウガも青枯病になる可能性があるので、同じ失敗を繰り返さないかと心配な気持ちもあります。

そこで、ショウガの青枯病について詳しく教えていただけないでしょうか。とくに、青枯病になってしまった際の対策方法があれば教えてほしいです。

李哲揆

データサイエンティスト

フォローする

ショウガは青枯病になると、茎が水浸状となって徐々に腐敗していきます

ショウガ青枯病の症状

ショウガ青枯病は、1999年に初めて日本の高知県で確認された病害です。

具体的には次のような症状がでます。

・地上部の下の方の葉が黄化する
・徐々に黄化が上の葉に進み、株全体がしおれ枯死する
・症状を進むと、茎の根元部分と地際部が水浸状に軟らかくなる

作物の病害としてメジャーな青枯病は、葉が青いまま枯れていくという特徴がありますが、ショウガ青枯病は特殊で地際部の葉や茎を徐々に枯らしていきます。

感染したショウガを引き抜こうとすると、茎が軟化しているため容易に抜けてしまうことが特徴です。

根茎腐敗病という病気と類似しているので、初見では分からずに間違った対策をして感染を拡大させるケースもあります。

もしも感染したショウガを発見した場合は、すぐに感染株周辺を取り除いた後、土壌消毒を行う必要があります。

こちらの記事で具体的な判別方法を解説しています
「青枯病の診断方法について教えてください」

ショウガ青枯病の発生条件

ショウガ青枯病の主な発生条件は次の通りです。

・ショウガの種根茎が保菌している
・前作の青枯れ病菌がほ場に残っている
・大雨などでほ場が浸冠水して、水とともに青枯病菌が運ばれてくる
・夏場などの高温多湿な環境である
・根に傷がついている

青枯病菌は土壌に潜む、またはすでに感染した株から伝染していきます。

また、感染株がない場合や土壌中に潜んでいない場合でも、大雨によりほかのほ場から流れ込んだ青枯病菌が感染を拡大させるケースもあります。

ショウガ青枯病の対策方法

ショウガ青枯病は、以下の方法で予防できます。

・健全な種ショウガを確保する
・センチュウ類の防除
・耕種的な防除方法の徹底

健全な種ショウガの確保をする

ショウガ青枯病の歴史をたどると、日本での発生は海外から輸入された種ショウガが感染源とされています。そのため、健全な種ショウガの確保が重要です。

海外から輸入をする場合は、採種栽培の管理状況などの情報を把握したうえで入手するようにすると良いでしょう。

また発病ほ場からの根茎は青枯れ病菌で汚染されている可能性が高いので、使用しないようにしましょう。

センチュウ類の防除

ショウガ青枯病は、根の傷口から侵入したのちに発病するケースが多いです。

そのため、根を傷つけるもととなるセンチュウ類の防除が重要となり、主に土壌消毒が用いられます。

主に土壌消毒をして対策を行います。

日本で最もショウガの生産量が多い高知県では「クロルピクリンくん蒸剤」という農薬を使用して土壌消毒をする農家さんもいます。

耕種的な防除方法の徹底

ショウガ青枯病の対策には、次のような耕種的な防除方法も効果的です。

・他のほ場の土壌を自分の農場に持ち込まない
・ほ場の排水対策を徹底する
・発病株を発見したら、速やかに除去、焼却し、栽培後にイネ科作物などを導入した輪作や土壌消毒を行う

青枯病菌を持ち込まない、広げない、持ち出さないといった基本的な対策が重要となります。