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ナス栽培で被害をもたらすアブラムシの防除方法は?

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ナス栽培で被害をもたらすアブラムシの防除方法は?

新しい品目としてナスの栽培に興味を持っていますが、うちで昨年育てていたほうれん草がアブラムシにやられてしまい、不安に感じています。

ナス科の作物もアブラムシには注意すべきだと思いますが、どのように対策を立てれば良いのでしょうか?

予防方法や注意すべき点などがあれば、アドバイスをもらえると嬉しいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ナス栽培のアブラムシ予防は、日当たりや風通しに気をつけながら薬剤と防虫シートの併用がおすすめ

アブラムシとは


葉に群がるアブラムシ

「アブラムシ」は特定の1種類の虫のことではありません。「カメムシ目アブラムシ上科」に属する昆虫全体のことを総合して「アブラムシ」と呼びます。

「アリマキ」と呼ばれることもあります。

大きさは1~4ミリのものが多いです。体の色も黒っぽいものから緑色、黄色、赤色のもの、羽があるもの・ないものなど、非常に多くの種類がいます。

日本国内だけでも700種類以上のアブラムシがいるといわれています。

一度植物に付くとほとんど動きません。ストローのような器官を持ち、植物の汁を吸い取って養分にすることで生活しています。

アブラムシは繁殖力がとても強い昆虫です。気づいたら1匹や2匹でなく、数十匹や数百匹単位で付いていることも珍しくありません。

また、排泄物は「甘露(かんろ)」と呼ばれる甘い蜜で、それを目当てにアリが寄ってきます。アリはアブラムシの天敵を追い払う働きを持ち、共生します。

ナスに付くアブラムシの種類


ナスによく見られるのは「モモアカアブラムシ」と「ワタアブラムシ」です。

「モモアカアブラムシ」はナス科、マメ科、アブラナ科、バラ科などきわめて多くの植物に寄生するといわれ、ナスでは葉の裏や芽の部分によく発生します。

成虫で1~2ミリほどの大きさで、体色は黄緑、黒(暗褐色)、赤褐色などさまざまです。

「ワタアブラムシ」も同様に、多品目の植物に被害をもたらすことで知られるアブラムシです。

葉の裏に群生していることが多いです。

無翅虫の体色は、黄色〜緑色、濃緑色〜ほとんど黒色に見えるほどの変化があり、また、有翅虫では黄緑色〜青緑色です。

したがって、茎や葉脈が濃色のナスでは、体色によっては気づきにくい場合があるので注意が必要です。

いずれも季節によって寄生する植物を変えて移り住みます。これまでに圃場には発生していなかった病原菌やウイルスを持ち込む媒介者となるため、農家にとって非常に厄介な存在なのです。


アブラムシによるナスへの被害


ナスにアブラムシが付くことでもたらされる被害には、次のようなものがあります。

・植物の汁を吸うため、大量発生すると株の生育が悪くなる
・糖分を含む排泄物にすす病(黒いかび)が発生する
・他の植物からモザイク病など引き起こすウイルスを持ち込む



アブラムシが発生しやすい環境や原因


それでは、アブラムシはどのような条件の畑に発生するのでしょうか。

アブラムシが付きやすい時期


アブラムシの活動時期は3~10月の暖かい季節です。

特に春と秋の過ごしやすい気温の頃に、飛来したり繁殖したりします。

メスの成虫が植物の上で産卵し、卵は10日前後で成虫になるというサイクルによって、アブラムシは驚くべきスピードで増えます。


どんな畑だとアブラムシが付きやすいか


アブラムシは、以下のような条件に当てはまる畑のナスの株を好みます。

・日当たりや風通しが悪い
・与えている肥料が多く、土壌に窒素が多く残っている
・天敵がいない、少ない


ちなみにアブラムシの天敵として知られるのが、テントウムシと寄生ハチです。

ナナホシテントウ、ナミテントウなどのテントウムシはアブラムシを捕食します。ただし、テントウムシダマシにようにナスの葉を食べる種類のテントウムシもいます。

アブラバチ、アブラコバチなどの寄生ハチは、アブラムシに卵を産みつけ、孵化した幼虫がアブラムシの内臓を食べ、終齢幼虫になるとアブラムシの外皮を利用することで死滅させます。


ナスに付くアブラムシを予防する方法


それでは、アブラムシを発生させないためにはどのようにすれば良いのでしょうか。

苗や畑をよく観察する


アブラムシの活動期は暖かい時期です。苗を植えるときに苗にアブラムシが付いていないか、畑にいないかをよく観察しましょう。

水やりや剪定などの作業のときにも、こまめに葉の裏などをチェックするよう心掛けてください。


畑の日当たり・風通しをよくする


アブラムシが好む(生活しやすい)環境を作らないようにしましょう。密集して植えることは避け、日当たりと風通しを確保してください。

高温で乾燥した時期に活発化するので、葉の裏に水をかけるなどの方法で乾燥を防ぐことも、予防効果につながります。


予防効果のある薬剤を使う


アブラムシを予防する薬剤も販売されています。

使用前にラベルをよく確認し、地域で指導されている方法に従って使用してください。


目の細かい防虫ネットや銀色のマルチシートをかける


アブラムシが侵入できない程度に細かい目合いの防虫ネットをかければ、ナスの株への物理的な飛来を防げます。

そのほかにも、アブラムシは光るものを嫌う性質があるため、銀色などのマルチシートを敷くのも有効でしょう。


ナスの株にアブラムシを見つけた場合の駆除方法


最後に、アブラムシの発生を見つけたときの対処法を紹介します。

捕まえてつぶす


もし確認したアブラムシの数がまだ多くないのであれば、1匹1匹捕まえてつぶすことで、ある程度の繁殖が防げます。

捕まえるのに粘着テープを使うなどの工夫をしている農家もいます。


株に薬剤を使う


農薬を使う慣行栽培であれば、株に散布する駆除剤を使用しても良いでしょう。

予防のための薬剤同様、使用方法はラベルや地域での指導に従ってください。

アブラムシ以外の注意すべき害虫についてはこちらをご覧ください
ナスによく発生する虫の種類や防除方法は?


このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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