マダイの養殖をやっています。
私が属している漁協では、安全・安心な養殖を進めるためのマニュアルを作ってブランド化に取り組んでおり、私もそれに沿って厳格に作業を進めています。
飼料の保管・管理に関する質問が1つあります。魚に与える配合飼料は、きちんと倉庫内でネズミや害虫等の侵入がないように保管、管理していますが、梅雨時などは湿気で袋内の配合飼料が一部カビたり、固まったりしてしまいます。
劣化した配合飼料は廃棄が原則とされているので、私もそれを守ってはいるのですが、飼料代が上がる中で、少しでもその廃棄を少なくできないかと考えています。
例えば、同じ袋にあった飼料でも、一部劣化した部分だけ取り除いて、残りの飼料を使用することは問題があるのでしょうか?
また、梅雨時の倉庫内の湿気を防ぐのによい対策があれば、教えてください。
(愛媛県・越智さん/仮名・50代)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
餌のカビや湿り気は袋ごと廃棄。湿害予防は空気の流れがカギになります
養殖業者から聞いた話では、一部でも袋の中の飼料にカビが生えたり、湿って固まったりしているということは、その部分だけでなく、袋全体に湿気が回っていると考えた方がよいです。
その場合、飼料中の脂質成分が酸化している可能性があります。人間も同じですが、酸化した脂質成分を餌として与えると、魚に害を及ぼす可能性がありますので、基本的には避けたほうがよいでしょう。
配合飼料は冷蔵庫に保管することが最良ですが、それができない場合には対処法があります。
倉庫内に保管する際には、床にパレットなどを敷いて、その上に餌袋を置くと思います。そのパレットを1段だけではなく、3段ほど積み重ね、その上に餌袋を置くと、餌袋の下に空気が流れ、湿気をある程度低減できます。
また、餌袋の山をシートなどで覆うことは湿気を閉じ込めることになるので、避けたほうがよいでしょう。
パレットの上に餌袋を積み重ねる場合も、袋同士がを密着しないように少し間隔を空けて積み重ねておくと、その間を空気が流れて湿気を低減させる効果が期待できます。