神奈川県で就農して5年ほどになります。
現在は30〜40種類の季節の野菜を露地栽培で育てています。
農薬や化学肥料をできるだけ使わず、微生物を活かした土づくりをしているせいか、植物の根の張りも強く、強い風にも負けない元気な作物が育っています。
しかし、台風となると話は別です。
昨年はとうもろこしの8割ほどが台風の影響でなぎ倒されてしまいました。
今年は風による影響をできるだけ少なくするため、「防風ネット」を導入しようと考えています。
できるだけ費用をかけずに設置したいので、自分で張ってみるつもりです。
設置のコツを教えてください。
(神奈川県・内田さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
防風ネット、バンカープランツ、寒冷紗など、組み合わせを考えてみましょう
神奈川県は海が近く、台風の影響も大きいですから大変ですよね。三浦半島も三方が海に囲まれているので台風対策は死活問題です。我が家も農薬不使用を目指しているため、状況は似ていると思いますのでお気持ちはよくわかります。
防風ネットで効果が高いのは、やはり単管パイプを細かく打ち込み、目の細かい防風ネットを張る方法です。
留める部位には屋外用の結束バンドなども使用する場合もあります。
単管パイプを差し込むのが大変な場合は「オーガドリル」という螺旋状の刃による穴掘り機を使用すると比較的楽に作業はできます。しかし施工が大変で、費用もかかります。
我が家の場合は、バンカープランツを使用しています。ソルゴー(ソルガム)などを風よけとして使用する方法です。
ソルゴーといっても現在ではいろいろな種類があり、台風に一番効果的なものは「ウインドブレイク」という大型に成長する品種です。
面積的な問題がクリアできるならば、台風などの強風から植物を守ってくれる頼もしい壁になります。
また、バンカープランツは益虫の銀行と呼ばれており、農薬をあまり使用しない農家の強い味方にもなり、一石二鳥です。
あまり大きくなりすぎると困る場合は「三尺ソルゴー」という小型のものもあります。小型であっても、下から突き上げる寝風を防いでくれます。
さらに場合によってバンカープランツと併用して寒冷紗を作物に被せるなどして強風対策をしています。
畑が複数ある場合、風の強さは場所によってかなり違うはずです。
場所によって単管パイプにしたり、ウインドブレイクをサポートで植えたり、寒冷紗を二重にすることで被害を減らすことができると思います。
また、野菜の選定や品種の選定も重要です。風が強い部分は背の低いものを栽培する、トウモロコシなら倒伏に強い品種を選定するなどの方法もあります。
風対策に正解はありません。さまざまな方法を組み合わせて乗り切るしかないと思います。
強風の怖さからは逃げられませんが、同じ地域に住む農家として強風に負けずにおいしい野菜を作っていきたいですよね。