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出荷前に野菜は洗うべき?洗わないべき?

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出荷前に野菜は洗うべき?洗わないべき?

新潟県で米と野菜の少量多品目栽培をして4年目の農家です。

出荷前には、野菜に軽く水をかけて洗っていたのですが、野菜を洗うか洗わないか、いまだにどちらが正解なのか分かりません。

専用の洗浄機を持っているわけではないので、洗わない方が痛まないし、鮮度も長持ちします。でも洗った方が見た目はキレイです。

知り合いの農家も「洗う」「洗わない」と意見が二つに分かれています。もちろん野菜の種類や出荷先にもよると思うのですが、どちらがいいのか知りたいです!
(新潟県・堀田加奈さん/仮名・30代)

東山広幸

有機栽培農家

正解はありませんが、洗う場合は野菜のキュアリング条件を理解しておきましょう

相談者さんが栽培している野菜の出荷先や出荷時期などによって「洗う」「洗わない」の判断は違ってきますが、見た目を目的に野菜を洗う場合、キュアリング(治癒・修復:野菜を適した温度・湿度に置くと傷が自然に治る性質)条件は知っておいたほうが良いでしょう。

野菜は収穫の際に大なり小なり必ず傷がつきます。その傷から微生物が侵入して腐敗の原因になるわけですが、そこで野菜も生き抜く手段として自ら傷口の修復を行うわけです。

例えば、ネットメロンの網目やカボチャのなり首のコルク化は傷を修復した跡です。いわば、かさぶたのようなものと考えればいいでしょう。

ただし、この修復作業はいつも順調に行えるわけではなく、各野菜によってベストな条件があって、その条件から大きく外れると修復が遅れて病原菌の侵入を許してしまい、腐敗が早まることとなります。

例えば、私がまだ大学院生だったころ、学寮の周りの藪を開墾した畑で収穫したジャガイモが泥であまりに汚かったので、洗って日陰で干しておいたことがあります。

ところが、次から次へと腐り半分ぐらいしか残りませんでした。東北ではジャガイモの収穫は梅雨明け前後と最も暑い時期となります。

この時期の気温はジャガイモのキュアリング条件よりずいぶん高温で、洗ってさらに傷が増えたことにより腐敗に拍車がかかったもので、野菜のキュアリング条件を考えなかった結果の失敗事例です。

各野菜でキュアリング条件は異なるのですが、基本的に温帯原産の野菜では15~20℃、熱帯原産のものでは25~30℃ぐらいが至適温度、湿度は根茎菜類では100%近く(土の中の条件)と考えて差し支えないと思います。

キュアリング自体は2~3日で完了するので、貯蔵性のある野菜に関しては、洗ったあとキュアリングの至適条件に近い状態に数日置いてから売るようにすれば、購入者から「買ってからすぐに傷んだ」というクレームが出にくいでしょう。もちろん販売する季節がキュアリング条件に近い場合はそのまま店頭に並べてOKです。

キュアリングするヒマのない葉物野菜などを洗った場合、なるだけ早く店頭に並べるべきですが、洗うことによるダメージが大きいので、できれば洗わなくてもいいように、泥はねなどのないよう、マルチ栽培やモミガラマルチで栽培することをおすすめします。

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