今年で就農して3年目になります。春先から秋にかけて露地栽培で小カブを育てています。
昨年のことですが、収穫すると先端部分に大小のコブができているものが混ざっていました。
割合としては全体の1割程度だったので大きな被害というわけではありませんでしたが、変形したカブにショックを受けました。
コブができていたカブは水はけが少し良くない場所で育てたものだったので、畑の排水を少し改善してみました。
しかし、排水を改善するだけで万全なのかどうかが気になっています。
前回は収穫時までまったく気づきませんでしたが、もし栽培の途中で根こぶ病の予兆を知ることができれば少しは安心できそうです。
根こぶ病を早期発見するための方法などはあるのでしょうか?
(神奈川県・島本さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
早期発見より「根コブ病」の原因を特定し根絶することが大切。土壌はアルカリ性で水捌けの良い環境作りを
こんにちは。神奈川県でブロッコリーを中心に少量多品目を栽培している農家の鈴木雅智と申します。
大学時代は土壌学研究室で「ねこぶ病」の研究をしていました。何かの参考になれば幸いです。
まず、「ネコブ」には「ネコブセンチュウ」と「ネコブ病」の二つがありますから、まずどちらかを見極めてください。
対策方法が異なります。今回は相談者さんのいう「ネコブ病」を前提にお話しさせていただきます。
まず、ネコブ病は「糸状菌」というカビです。
土壌伝染病であるため、畑から畑にうつります。例えば、同じ長くつで圃場を移動した場合、土がついているとうつります。
また、川が近い畑の場合、水の流れでもうつります。
地元でも急に発病した畑を調べたときに、上流の農家が川沿いにネコブ病のカブを捨てていたということがわかりました。
早期発見も大切ですが、原因特定やどんどん増えるので根絶するということも大切です。
ネコブ病はネコブセンチュウより大きなこぶが出来て水分が吸えない状態になります。
その為、成長が阻害され、カブ自体が他の健康的なカブよりも小さくなるのが特徴です。
早期発見としては、明らかな小さい株になっているエリアが発生したら早めに抜き取って発見する方法しかないかと思います。
また、発生した圃場は翌年に再び発生する場合が多いです。
ネコブ病の最適温度は20℃~24℃です。
春から初秋に発生するのが特徴です。
対策方法としては
1、アブラナ科野菜をつくらない。
ネコブ病の宿主植物はアブラナ科に限ります。
ネコブが発生した圃場、または心配な圃場には白菜、キャベツ、カブなどを作らない、という選択肢もあります。
2、湿度の多い場所で多発するので水はけをよくする。
圃場内でも、水はけの悪い場所などで多発します。
危険エリアの場所ではより気をつけて、水はけをよくするなど対策ができるならしてあげてください。
3、pHをあげる
ネコブ病はpH4.5~6.5の酸性土で発生します。
pH6.5以上だと、発生は軽減するのでアルカリ性の土壌にするのがおすすめです。
私の卒論では「転炉スラグ」を施用しましたが、ネコブがひどかった圃場でも10年間は発生が見られませんでした。
ただし、アルカリ性になると発生する別の病気等がありますからそちらにも気を付けてください(例:ジャガイモのそうか病など)。
4、農薬を使用したり、耐病性品種を利用する。
農薬名についてはネットで探せば色々あるので割愛させていただきます。
抵抗性品種に関しては「CR」とつく品種を使うと被害を軽減できるのでおすすめです。