耕作放棄地だった農地を再生させ、露地栽培で旬の野菜を育てています。また、消費者の人気も高いので、小さめのハウスで常時5種類のトマトも栽培しており、シーズンごとに新しい品種にも挑戦しています。
できるだけ農薬は使わず栽培しているので、思わぬ病害虫の被害が出てしまうこともありますが、それも経験ということで栽培に役立てています。
しかし、先日ハウスで病気が発生してしまいました。
トマトの葉先が茶色く変色して腐っていくような症状が出るようになり、そのうち果実に小さな斑点ができたり、果実全体が腐るようになっていきました。
調べてみると、どうやら「灰色かび病」で間違いなさそうです。
土に影響している可能性もあるので、最低限の農薬散布を行い、あとは重曹や竹酢液などで対処しました。
しかし、栽培を再開しても再び発生しそうで怖いです。そのまま様子を見ながらハウスで栽培しても良いのでしょうか?それとも一定期間はハウスを使わない方が良いのでしょうか?
(岡山県・山下さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
防虫対策をしたうえで換気・除湿を徹底してください
こんにちは。神奈川県の三浦半島で100品種ほど栽培しているブロ雅農園の鈴木です。農家になる前は、農業高校で教員をしており、温室トマトの担当もしていました。
温室トマトで灰色かび病はさけて通れないですよね。灰色かび病はトマト栽培で最重要な病害のひとつといわれています。
原因となる糸状菌は湿度が80%以上になると活発になりますので、基本の対策はどれだけ除湿、換気ができるかにかかってきています。
ただ、風通しを良くすればいいというわけではなく、あまり開けすぎると、黄化葉巻ウイルスを媒介するシルバーリーフコナジラミが侵入する心配もありますから、防虫ネットを選ぶ時には、通常の網目ではなく、コナジラミ対策の網目で対応することも必要です。
小さなハウスということで、湿度も上がりやすいと思います。出入口は、片面だと思いますが、換気を考えるなら、片面出入口だけでなく、両面の方が風の通りもよくなりますね。現在できる対応としては、扇風機などが回せるようなら少しは違うかもしれません。
農薬散布については、害虫対策と一緒に行うと思いますが、組み合わせには気を付けてください。
害虫などは営農地域の流行りなどがありますから、一概にどの農薬がいいとは言えませんが、その地域の流行りなどを普及所や農協に聞けば教えてくれると思いますので、組み合わせる時は薬害がでないものを使用してください。
基本的なことですが、同一系統の薬剤だけを使用せず、ローテーションして耐性菌対策をしてください。
品種に関しては、2020年時点では、灰色かび病に対して十分な抵抗性を示すトマトというのは出ていないという記事があります。(農研機構が2020年に、イネの遺伝子BSR2を取り入れた病気に抵抗性があるトマトの作出を発表しているが、実用化はこれから)
ただ、病気に対して強い弱い、繁茂しやすい、管理しづらい、管理しやすいなどはあると思うのでいつもの品種だけでなく、試験的に別のものを入れてみるというのはいいかもしれません。
したがって、やはり灰色かび病対策に欠かせないのは、湿度の管理になります。
湿度が記録できる機器などもありますので、細かく調べて、湿度80%の状態が続かないように管理するのが一番効果的です。
私がやった管理方法は、株間を広げる、列を広げる、下葉かきをこまめにしてすっきり仕立てるなどが効果的でした
余談になりますが、私の知り合いのトマト名人は、自動換気機能があるハウスを使っていて、夜間に換気して湿度を下げるという方法をとっている人もいます。
海外のトマト農家が行っている方法ですが、日本ではあまり聞かないですね。トマト名人の話を聞いていると、そこまでしなければならないほど、ハウスにおけるトマト作りで換気が重要なんだなと認識を深めています。