京都の丹後地域でサツマイモも栽培を行っています。
栽培面積は2町ほどです。
2018年頃から、鹿児島県を中心とした南九州で基腐病が流行しています。
かなり深刻なダメージを受けているようで、離農する知り合いのサツマイモ農家も多数います。
最近では関東や北海道、北陸にまで発生報告が出ているそうです。
私の圃場では今のところ、基腐病は確認されていません。
しかし、苗をよそから購入しているので、発生するのも時間の問題なのではと危惧しています。
基腐病が発生した際、やるべき適切な対処法はあるのでしょうか?
(京都府・磯上さん/仮名・50代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
防ぐには「持ち込ませない」「増やさない」「残さない」が大切です
私が住む関東圏でも2021(令和3)年8月に、家庭菜園でサツマイモ基腐病が確認されたといわれました。
サツマイモ基腐病とは、カビの一種である糸状菌が原因で、感染すると、地面に近い茎の部分が黒っぽくなり、それから茎や葉が黄色や紫色に変色して枯れ始め、症状が進むと、イモと茎の付け根部分(ショコウ)から腐敗していきます。
圃場には感染した苗によって持ち込まれますから、苗の増殖に使う種芋はあらかじめ、傷や腐敗がないかどうかよく観察してください。
場合によっては、植え付けする前に苗や種芋を薬剤などで消毒することも重要です。
一度、基腐病が発生すると、豪雨や台風などの雨であっという間に伝染します。発見したら直ちに抜き取り、ビニール袋などに入れて処分してください。
病気にかかった株は、ツルの勢いが無くなり、株元が黒っぽくなります。生育が少しでもおかしいなと思ったら、株元を見てください。
ツルが生い茂るようになると株元が見えにくくなりますが、この間にも病気は確実に広がっています。
生産者の多くが、豪雨や台風などの後、一気に枯れ上がってから気付くことになりますが、雨に濡れることで大量の胞子が流れ出すので、それまで健全であった株にも爆発的に感染が広がる恐れがあります。
収穫後にも注意が必要です。圃場に残ったツルやイモに病原菌が残っていると、翌年の感染源になりますので、取り除くか、それが不可能ならできるだけ耕運して、残渣の分解を促してください。
この病気を防ぐには、「持ち込ませない」「増やさない」「残さない」の三点につきます。
苗床には、病気の発生がない畑で収穫した健全な種イモを使うこと。収穫時には、一株一株細心の注意を払うことが重要です。ツルからイモを切り離した際の切断面にも注意してください。変色が見られたら、たとえイモの皮がキレイでも、内部にはすでに病原菌が侵入している恐れがあります。
貯蔵の際に発病したイモがあると、それに接したイモにも病原菌が感染してしまいます。腐敗したイモとその付近のはすぐに処分し、種イモとしては使わないでください。
苗床に健全なイモを伏せ込んで良い苗が確保されれば、畑に基腐病が入ることは決してありません。