兵庫の山奥の温暖な地域で、サツマイモ「紅はるか」を作っています。
無農薬にこだわり、生産、加工、出荷まで一貫した安全なさつまいも販売に取り組むこと数年。
おかげさまで年々出荷数が増え、今年は約500本を植えることができました。
しかし昨年、サツマイモが大きくなりかけた頃、朝いつものように畑に行くと、サツマイモが半分ほど食べられていたのです。
イモの株元を覆っているマルチフィルム(作物の株元を覆うフィルム)に残ったツメ跡や周りの農家の話から、おそらくたぬきの犯行だとわかりました。
その時は畑を高めのシートで覆い、見回りを強化したのですが「それだけでは不十分や」「電気シートにし」と農家仲間からすすめられました。
しかし、いくら害獣だからといって、動物を傷付けるのは気が引けます。
もっと被害が増えれば、捕獲も検討しなければならないのでしょうが、今はいったんたぬきを寄り付かなくさせるなど捕獲以外の方法を模索しています。
効果的な対策があったら教えていただきたいです。
(兵庫県・岡田さん/仮名・30代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
電気柵にネットを組み合わせた複合柵がおすすめです
さつまいもは害獣に狙われやすい野菜のひとつで、犯人はたぬき以外にもアナグマやアライグマといった動物の可能性が考えられます。そのため、タヌキを含めたさまざまな動物からの被害を考慮して対策を考えなくてはなりません。
最も有効な方法は電気柵の設置でしょう。電気ショックを与えることで、害獣の侵入と被害を抑えることができます。害獣が電気柵に触れると痛みやショックは起こりますが、倒すほどの電流はなく、傷付けるようなことはありませんので、ご安心ください。
電気柵は、畑を囲むように電気線を段張りにしたものが一般的ですが、中型の動物は列の間隔を10㎝以上開けてしまうと高い確率で侵入されてしまいます。そのため、電気柵にネットを組み合わせた「複合柵」が効果的です。
また、野生動物は夜行性というイメージがあるかもしれませんが、実際は日中でも行動しています。ネットだけでは噛み切られてしまう可能性もあるので、電気線は一日中通電しておくことが重要です。
おすすめの複合柵は「楽落くん」という商品です。中型の動物全般を想定して作られているので、たぬきやアライグマ、ハクビシンなどが同時に来ても問題ありません。
電池式のものが一般的ですが、太陽光で充電するソーラータイプに変更することもできるので、設置する場所や長さに応じて適切なものを選ばれるとよいと思います。
野生動物はどこからやってくるか、近くにどれだけ存在してるかわかりませんので、駆除ではなく被害防止を目的に取り組んでいきましょう。