北海道でアスパラガス栽培をしています。
長いこと同じ雑草に悩まされていて、今までは仕方ないと思い諦めていましたが、これを機にアドバイスをいただければ嬉しいです。
その雑草は春になると生えてきて、ハウスの土の中で根を伸ばします。
雪が降る前には除草剤も使うのですが、春にはアスパラが生えてくるため除草剤も草刈り機も使えず、手で抜いて対処していました。
しかし根が細いため必ず途中で切れてしまい、断絶することができません。雑草の名前はわかりませんが、見た目はマメ科の葉に似ているかなと思います。
ハウスの広さは6メートル×80メートルほど。全部で4棟あり、その雑草に侵食されているのは2棟です。
残りの2棟まで根が伸びる前に、なんとか断絶したいです。毎年何度も手で処理していて本当に億劫なので、何か良い対処法があればぜひ教えてください。
(北海道・山中尚代/仮名・50代)
NPO法人 緑地雑草科学研究所
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アスパラガスの下に生えてくる雑草の正体は多年生雑草!刈り取ることで繁殖してしまう、厄介な草種
該当する植物は、多年生雑草と総称されるものですね。このタイプの雑草は、根が分断されると分断されたそれぞれの根から萌芽し、刈り取りすることでかえって個体数を増やしてしまいます。
多年生雑草には多くの種類があり、それぞれによって対策方法が異なります。
雑草の種類を特定することが重要ですが、図鑑やインターネットで検索しても、なかなかピンポイントで特定することは難しいですよね。
ご質問の状況(北海道・アスパラガス・ハウス・根で広がる・防除困難)から想定すると、該当雑草はスギナである可能性が高いと考えられますので、今回はスギナを想定した対処法をご紹介します。
スギナは北海道の畑地の最難防除雑草です。
このトクサ科の多年生雑草は、地下に潜って数億年地球環境の変動に耐え生き残ってきた植物。北海道の畑地なら地下1メートル以上の深さまで地下茎を張りめぐらしています。
そして、地上には葉だけを出しているので非常に防除が困難な草種です。
結論から言えば、スギナ繁殖体を完全に取り除くのは不可能です。しかし、以下のように数年かけて徐々に駆除することはできますので、ぜひ参考になさってください。
1、畑作用除草剤の冬期(積雪前)土壌混和によって、翌年の発生量を減らしていきます。トレファノサイドやCL-IPCを表層10センチ程度に土壌混和すると良いでしょう。畝間(アスパラ根茎のないところ)はカソロンを土壌混和してください。
2、アスパラ萌芽前または収穫後、スギナ展葉時に接触型茎葉処理剤を散布します。薬剤はプリグロックスがおすすめです。
3、ハウス外からの侵入を防止するためには、ハウス外縁にカソロンを深層土壌混和します。
4、農地への侵入を阻止するためには、畑地近縁のスギナ群落の地下茎をアージランの葉面散布で故殺します。
一度畑に入ったスギナの駆除には、長い時間を要します。大変な作業ですが、ぜひ根気よく取り組んでみて下さい。