広島県で稲作をしている農家です。米づくりをするうえで、アワやヒエを稲と混在した状態から取り除く作業に悩んでいます。
慣れれば区別は簡単なのですが、手間と膨大な作業時間がかかります。
家族経営の農家なので、これ以上人を雇う余裕はありません。
アワやヒエを効率よく取り除く方法はあるのでしょうか?
(広島県・上條大介さん/仮名・40代)
広島県で稲作をしている農家です。米づくりをするうえで、アワやヒエを稲と混在した状態から取り除く作業に悩んでいます。
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佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
イネ科雑草は「発芽・発育を遅らせる」「養分と日光の遮断」を意識して対策しましょう
イネ科の雑草を取り除くのは、収穫前の立毛中の対策が必要で、一般的には3〜4葉期との生育差を活かして対策を講じます。この生育差で根の張りが多くなれば、稲が雑草との競争に勝てるでしょう。
具体的な雑草対策としては、①「発芽・活着を遅らせる」、②「養分・日光を与えない」の2点があげられます。
1番目の発芽・活着を遅らせる方法は、(A)植え付け時期が早い場合と、(B)遅い場合で対応が異なってきます。
(A)植え付けが早い場合、外気温・水温が低く推移することを利用して、深水で管理しましょう。雑草の発芽を遅らることができます。
除草剤についても、雑草の出芽を確認してから散布してください。藻などが発生している場合は、ジャンボ剤やフロアブル剤の散布は避けて、粒剤を散布しましょう。
なお、有機栽培の場合は、酸素を遮断することで雑草の発芽を遅らせることが可能です。酸素を消耗しやすい酵母菌や納豆菌などの微生物を培養して、田植え時に散布しましょう。
(B)の遅い時期の田植えでは、外気温が上がり雑草の発芽が早いことから、すぐに稲の生育に追いついてしまうことが懸念されます。
代かき後に雑草を1度発芽させ、10日後に再度代かきをして、発芽する雑草の種子を減らしましょう。実施する際は、軽く浅く代かきして土を練り過ぎないように意識してください。
除草剤は、田植え後早い時期に散布しましょう。移植前処理が可能な地域は田植え前の散布も対策の1つです。除草剤散布後は深水で管理し、除草剤の効果を長く維持しましょう。
続いて2番目の養分・日光を与えない方法は、中間追肥を早めに施用することです。できれば、化成肥料より有機肥料を使用した方が倒伏面の安全が確保できます。
有機肥料の多くは、肥効が現れるまでに少し時間がかかるので早めに散布しましょう。肥料の成分に米ヌカが入っているものならば、有機酸で雑草を抑える効果も期待できます。
なお、イネ科以外で雑草が残った場合は、2〜2.5%の食酢を使用して濃度障害による稲との選択的対策技術の導入をおすすめします。有機栽培でも使用できる方法です。これに関しては、農文協から発行されている『農家が教える 酢とことん活用法』でも詳しくご紹介していますので、参考にしていただければ幸いです。