自然豊かな農園で減農薬、減化学肥料でコシヒカリ、こがねもち、ひとめぼれなどを栽培しています。
土は粘土質なので苦労することも多いのですが、これからも先祖代々受け継がれてきた土地を守り続けていくつもりです。
しかし、収穫したお米に赤米が混じるケースが増えてきています。いわゆる雑草イネというやつです。
最初は手でとっていたのですが、それでは追いつかないようになってきました。
雑草イネは悪いものではありませんので、仲間の中には古代米という形で“売り”にしている人もいます。
しかし、私はできるだけ雑草イネは減らしたいと考えています。これ以上増えてしまうと、手に負えなくなってしまう不安もあります。
なんとか雑草イネを徹底的に防除したいです。対策を教えてください。
(福島県・鈴木さん/仮名・40代)
佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
雑草イネの対策はイネ科雑草の対策によく似ており、食酢の散布が有効です
雑草イネは近畿では10年ほど前から問題となりましたが、最近では対策が進んでいるようです。
雑草イネは、イネ科雑草によく似ていて、対策も類似しています。対策は大別すると「移植時」と「出穂(しゅっすい)時」の2つです。
当然のことですが、大前提として雑草イネが多く発生している水田では直播栽培は避けてください。
さて、「移植時」に行う対策からお話しますと、雑草は代かきの後に発生することになります。
そこで、出芽時に成長点に作用する除草剤を使用すると、出芽を抑えることができます。こういった成長点に作用する除草剤は「初期剤」に多いので、早く播く必要があります。
また、ある程度大きくなって薬剤耐性ができてから使用する「中期剤」は、移植のイネの葉齢と、雑草イネの直播の葉齢の差を活かすことで、雑草イネが消えることがあります。栽培管理に関しては、水深を深めにしましょう。
すでにお取り組みいただいているようですが、初期処理に失敗した場合には抜き取りによって種を次年度に残さないようにします。
この他の方法ですが、もし栽培しているイネがまだ出穂していない時点で雑草イネが出穂している場合は、開花時に食酢を散布して不稔化させます。
散布する食酢の酢酸濃度は2.5%以上ではイネにも濃度障害が生じてしまいますので、薄い濃度から始めることをおすすめします。
また、朝夕の湿度の高いときに散布すると、酢酸濃度が上がりにくいので濃度障害が起きにくくなります。
散布は穂にかかるように数回行ってください。そしてイネの収穫後ですが、すぐに耕起せずに鳥類による種の捕食を待ちましょう。
その他、転作ローテーションで大豆を栽培される場合は、イネ科雑草用の除草剤使用もご検討ください。