長野県で、地域おこし協力隊として果物農家をお手伝いし、農家の仕事にやりがいを感じて就農した20代です。
小さな農園を任され、主に洋梨(オーロラやラ・フランス)・和梨(豊水や南水)・りんご(シナノスイートやシナノホッペ)などを育てています。
新しい品種を育てる事は、とても面白いですね。
でも、最近は梅雨の長雨が続いて思うように作業ができず、憂鬱な毎日を送っております。
作業ができないでいると悪いことばかり頭に浮かんでしまい、気象庁や海外サイトの天気予想などを何度も確認しながら晴れを祈る毎日です。
元気だけが自慢の私でしたが、こんなに自分の心は弱かったのかと思う日々を送っています。
また、以前にも大きな被害にあったのですが、梨やりんごの収穫時期に台風直撃で収入が激減したことがあります。
今後のことを考えると不安でなりません。
よい気分転換の実例とか、時間のうまい使い方を教えてほしいです。
もし、できるなら天気に左右され、不透明になりがちな経営についての悩みを解消する方法があればよいのですが。
だけど、そんな都合のよい方法なんてあるわけないですよね。
(長野県・滝沢さん/仮名・20代)
西田栄喜
風来 代表
畑に出ることだけが農業ではない!勉強をする時間に当ててみては?
こんな言葉をご存知でしょうか。「雨音を聞いてほっとできるようになると一人前の農家」だといわれています。
うちの場合は「晴耕雨読(晴れた日は畑に出て耕作し、雨の日は家にいて読書すること)」ではなく、「晴耕雨漬」と呼んでいますが、晴れた日は畑に出て、雨の日は漬物を漬けたり、加工する、ということをやっています。
そのほかには、改正された種苗法や、食品衛生法などの勉強もしたりしています。畑に出ることだけが農業と思わずに、いろいろなことに挑戦してみるのがよいと思います。
相談者の方は、新しい品種を育てることに面白さを感じているようですから、さまざまな品種の勉強をされるのもよいかもしれませんね。雨は神様が与えてくれた勉強の時間だと考えると、かなり気分も変わってくるでしょう。
私たちの仕事は天気と共に歩んでいくしかありません。ぜひ、前向きに受け止めて農業を楽しんでいってください。
ここ数十年で、販売方法や規模など、農業のスタイルは大きく変わりました。インターネットで遠方の方とも繋がれます。可能性があると思うか、ないと思うかは、その人次第だと思います。
畑を舞台にして、栽培にこだわらず何でもできると思ってみるとよいのではないでしょうか。ちょっと怖いところもあると思いますが、FacebookやTwitterなどのSNSで発信してみると、思わぬ出会いもありますよ。私にも遠慮なくメッセージください。
倉野佳典
伊勢苺園 代表
仲間との会話が心を元気にしてくれますよ
おっしゃられていること、すごくわかります。私も雨の日は何もできなくて不安な時期がありました。何かで気を紛らわせればよいのに、何も手がつかず、家で何もできない時間がただ過ぎていくだけ……。とても辛かったです。
長雨が続くと、仕事ができない焦りから天気図の等圧線をじっと見つめてみたりして……。鬱々と過ごすこともありました。いくら天気図を見ていても、晴れるわけがないのに(笑)。
そんな時は、一人で考え込まず、誰かに電話するとか、会いに行くとよいと思います。そうしないと、際限なく落ち込んでいってしまいます。私の場合は、農業の勉強会で出会った前向きで気の合う農家さんと経営について話したり、同業者ではなくても、ポジティブ思考の方とお話したり情報交換をして、憂鬱さを晴らしています。
最近はZoom(オンラインでビデオチャットができるサービス)なんていう便利なツールができましたので、ITの勉強を兼ねて挑戦しています。多少無理してでも積極的に交流をするようにしてくださいね。
近年では、観測史上最悪という天候や気象も多くなってきました。その現状や対策等の心構えをしておき、前向きに挑戦している方や、長年地元でうまく農家を続けている方からの情報を聞くのもよいかと思います。