RACコードとは？RACコードを活用して病害虫を防除するコツを教えて

YUIME Japan編集部 / 2023.06.15

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神奈川県で就農して10年になります。周囲の農家の中には、無農薬や有機などに挑戦している人もいますが、私は農薬や化学肥料とうまく付き合っていこうと考えています。

しかし、農薬は新しいモノが出てきますし、農薬の使い分けや組み合わせ、相性の確認には、非常に悩みます。

適用作物の一覧表と照らし合わせながら、自分で表にまとめて管理していますが、資料も膨大になり、組み合わせを確認するだけでも大変な作業です。

農薬の扱い方を見直そうかと考えていたところ、RACコードというものがあることを知りました。

いままで意識したことがありませんでしたが、FRAC、IRAC、HRACという分類があることも知り、RACコードを活かせばもっと簡単に病害虫の防除ができるのではないかと考えています。

そこでRACコードを活用した病害虫防除のコツを教えてください。
（神奈川県・井上さん/仮名・30代）

同じ農薬を使い続けることで薬剤が効きにくくなるため、異なるRACコードをローテーションで使うと薬剤耐性がつくことを遅らせることができます

RACはRegisitance Action Committee（抵抗性対策委員会）の頭文字をとったもので、農薬製造業者で構成される国際的な団体CropLife Internationalの中の組織です。

害虫や病原菌、雑草が薬剤に対する抵抗性（耐性ともいう）を獲得すると、薬剤の効果がなくなってしまいますが、RACはその名前のとおり薬剤抵抗性の発達を防止または遅延させるための活動をしています。

同じ作用機構の薬剤（同じ効き方をする成分）を連続して使用すると、害虫や病原菌が抵抗性や耐性を獲得するリスクが高くなることが知られています。また、かつての農家はその時点で最も効果の高い薬剤を続けて使用することもありがちでした。

そこで同じ作用機構の薬剤（有効成分）には同じコード番号をラベルに表示し、農薬散布をする際には、異なるRACコードの薬剤を輪番で（ローテーションをして）使用することを呼び掛けることで、抵抗性の発達リスクを農薬使用者が実践しやすくすることを手助けしています。

異なるRACコードの薬剤を輪番に使用することは、それぞれの農薬の防除効果を高めることには直接寄与しませんが、抵抗性（耐性）の発達リスクを抑えることで、間接的に病害虫（雑草）防除の効果を安定させることにつながります。

農薬工業会では生産者の方向けにリーフレットを作成しています。

また、農薬工業会のWebサイトにFRACが作成したYouTube動画があります。国際版ですがナレーションは日本語なので参考になさってください。