埼玉の中東部で農薬や化学肥料を一切使わず、少量多品目の野菜を育てています。個人的に根菜類が好きなこともあり、病気の防除にも気を配って、じゃがいもの栽培に力を入れてきました。
連作は避けて、品種は病気にかかりにくい抵抗性のあるものから種イモを丁寧に選ぶように心がけながら、土壌が酸性かアルカリ性かを示すpH値を定期的にチェックしておりました。くわえて、米ヌカを入れて、土壌の水はけにも注意しつつ、自分なりに万全な対策をしてきたつもりです。
そこまで気を遣っていたのですが、とうとう病原菌が原因の「そうか病」にやられてしまいました。
気を取り直して土壌消毒をして育てるしかありませんが、今後も防除がうまくできるか不安です。
そこで、いままでやってきた対策以外のこともできるだけ試したいと思っています。たとえば「超浅植え栽培」というのを聞いたことがあるのですが、有効な方法なのでしょうか。
(埼玉県・斎藤さん/仮名・40代)
五十嵐大造
東京農業大学国際食料情報学部 国際食料情報学部(前教授)
じゃがいものそうか病は重要な病害です。病気にかかっていない種イモの購入や土壌管理を
そうか病は、じゃがいもの重要な病害です。放線菌(ほうせんきん)の一種が原因で、菌は土壌中で有機物を栄養源として長期間生存し続けるので、しっかりと対策を立てなければなりません。
基本的な対策は、種イモを感染源とさせないために、病気にかかっていない種イモを購入することです。
じゃがいもは酸性土壌を好みますが、そうか病の発生はpHが5.2以上で増えてしまうので、石灰の散布は控えた方が良いです。
また乾燥気味の土壌で発病が多くなることから、土壌を多湿にすることが防除につながります。
相談内容を拝見すると、かなり気を配って対策されてきているようですね。
ほかにも軽減対策方法としては、米ヌカの土壌混和、連作を避ける、前作にイネ科やマメ科の植物を栽培するなどがあります。まだやったことがないようでしたら、ぜひ試してみてください。
畝の上に種イモを置いて黒マルチを張る超浅植栽培についてですが、じゃがいもと土壌との接触部が限られることになりますから、その点からみれば罹病しにくいのかもしれません。
しかし、効果についてはもう少し事例を集めて検討していく必要があると思います。
例えば、マルチで覆うことで土壌が湿潤状態を維持するために効果がありそうだとみることもできますが、雨の降らない日が続いて、じゃがいもの茎葉が繁って盛んに蒸散するようですと、かえってマルチをかけた土壌は乾燥するともいえます。
このことからも超浅植栽培で大きく改善する効果が期待できると言い切ることは難しいかと思われます。