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分娩後2日目以降の初乳を子牛に与えると下痢になるというのは本当ですか?

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分娩後2日目以降の初乳を子牛に与えると下痢になるというのは本当ですか?

佐賀県で酪農をしている農家です。

分娩後5日間の初乳は出荷できないので、これまで私は子牛に与えていたのですが、近所の酪農家から「初乳は初日だけでやってあとは捨てた方がいい。タンパク質が多いから下痢をする」と言われました。

初日は下痢をしないのに、2日目以降は下痢をするなんてことがあるのでしょうか?
(佐賀県・岩村隆さん/仮名・40代)

一條俊浩

岩手大学 農学部 共同獣医学科 准教授

子牛の免疫は生後24~32時間までに初乳から得る必要があり、保存状態が悪いと消化不良の原因になります

生まれてすぐの子牛の免疫は、母牛の初乳に含まれる「免疫グロブリン」というタンパク質からしか得ることができません。

この免疫グロブリンというタンパク質は、非常に大きな分子構造を持っています。

そのため、子牛の腸管で吸収できる時間は24~32時間くらいに限られています。

つまり、子牛の腸管は病原菌などが侵入しないように、粘膜の受け口が時間と共に閉鎖していきます。

そのため、閉鎖する前に免疫グロブリンを吸収しなければなりません。

これ以降になると、いくら初乳を与えても免疫を獲得することができません。

また、初乳の保存状態が悪いと消化不良の原因になりますので、初乳は凍結して保存しましょう。

最近、各種の初乳製剤や免疫グロブリン製剤が発売され、酪農家に利用されていますが、これらの製品も同じように分娩後できるだけ早く投与する必要があります。

さらに、最近では初乳を介した「牛伝染性リンパ腫ウイルス」の感染が問題になっています。

現在、初乳を殺菌する装置(パスチャライザー)が販売され、牛伝染性リンパ腫ウイルスが感染しないことが報告されています。

母牛の感染が不明の場合は、必ず初乳をパスチャライザーで殺菌してから投与してください。

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