都内で少量多品種を栽培する野菜農家です。JA直売所に出荷するとともに、自宅直売所でも新鮮な野菜を販売しています。
うちには代々続く梅の木があり、梅の実は旬の時期には人気の作物となっています。気になるのは、近年バラ科樹木を食害するクビアカツヤカミキリの存在が各地で脅威となっていることです。
梅の木はもちろん、桜の木や桃などの果樹も被害を受けているようです。現状被害はありませんが、有効な対策などがあれば教えてください。
(東京都・佐々木さん/仮名・40代)
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うちには代々続く梅の木があり、梅の実は旬の時期には人気の作物となっています。気になるのは、近年バラ科樹木を食害するクビアカツヤカミキリの存在が各地で脅威となっていることです。
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岩田隆太郎
日本大学 生物資源科学部 森林資源科学科 特任教授
クビアカツヤカミキリ対策は、誘引捕殺や薬剤注入など複数を組み合わた対応を
クビアカツヤカミキリは、サクラなどのバラ科の樹木に寄生し、食害により枯死させる特定外来生物です。発見次第自治体などへの報告が必要です。
日本では2012年に愛知で最初に報告された後、埼玉、徳島、群馬、栃木など12都道府県に侵入してサクラを中心に、モモやスモモ、ウメなどに被害を及ぼしています。中国から輸入された梱包材(使い捨てのパレット)から広がったと考えられます。
愛知では減少していますが、群馬から栃木、埼玉北東部は国内最大の生息エリアです。東京でもサクラの枯死が報告されています。
クビアカツヤカミキリの成虫の大きさは30~40ミリで、長い触覚とツヤのある黒色、首のような部分の赤色が特徴です。成虫が発生する6~7月にかけて繁殖しやすいとされます。
幼虫の期間は2年間程度で、成虫は6~8月ごろに出現・産卵し、卵は10日前後で幼虫になります。幼虫が食害する4~10月ごろにかけて、「フラス」と呼ばれる木屑とフンが混ざったものを出します。これが食害の目印です。
防除方法は、見つけ次第補殺する、「糖酢液(とうさくえき)」という人工樹液(砂糖:酒:酢=1:0.5:1.5の割合)による誘引捕殺などです。
その他、微生物を成虫に感染させる、木を揺すって成虫を落とす、フラス排出のある木の下部をネットで覆い成虫を囲い込む方法などもあります。
殺虫剤は、「アセタミブリド溶液」、「フェンプロパトリンエアゾール」、「メタフルミゾン溶液」などが使われます。虫のいる穴に注入する方法が一般的です。
成虫になる前の対策は、消石灰や硫黄などで作った防除材で産卵を防ぐ、幼虫が出てくる穴に接着剤を注入するなどの方法もあります。
このようにさまざまな方法がありますが、完全防除はできません。ですが、何もしなければソメイヨシノが全滅し、お花見ができなくなる恐れもあります。
そこで私は5月に薬剤注入、5月末に網掛け、6~7月に網内の成虫補殺、8月に網撤去、8~9月に薬剤注入と被害調査、10月以降に伐採することを提案しています。侵入を確認してから早めにするほど、費用は安く済むでしょう。