香川県に移住し、にんにく栽培を始めてから3年目です。1ヘクタールほどの畑で試行錯誤しながら栽培しています。
先日畑に行った際、マルチの上に飛び出たにんにくを発見しました。
全部で10個近く、植えつけたはずのにんにくが引っこ抜かれたような状態になっていたんです。
初めての光景に驚きました。
周囲を見渡しましたが、害獣の足跡は見当たらず、近所の先輩農家さんに相談してみたところ、カラスなどの仕業ではないかと言われました。
特に傷がついていた訳ではありませんが、植え直す手間がかかるため、再発防止策を取りたいです。なにか良い方法はありますでしょうか。
(香川県・野辺久世さん/仮名・30代 ※画像はイメージ。実際には苗が引っこ抜かれています。)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
葉から50cmほど高い上空に黒い糸を張ると、カラスを防ぐ効果があります
カラスは発芽時期に芽を引き抜くことがあります。
何もないところに飛び出してくるので興味が湧くのだと思われます。落花生やトウモロコシなどは食害目的で荒らしますが、にんにくはいたずらではないかと思います。
たとえ食害目的であったとしても、カラス被害は黒糸を張ることで防ぐことが出来ます。黒い鳥には黒い糸……「黒糸作戦」です。
設置は次のとおり簡単です。
守りたい場所の上部に1m間隔で黒いテグス糸を張るだけです。
果樹などでも広く導入されている技術ですが、圃場の場合は発芽を守るためにはちょっとした工夫が必要です。農研機構が手順を紹介しているので、動画でご覧ください。
黒糸を張る位置についてですが、発芽した作物と黒糸との間(高さ)は50㎝程度に保つ必要があります。カラスは羽が糸に触れることを嫌がります。間が広すぎると糸に触れずに空間を自由に飛べることになります。
果樹は地上から高い位置に張りますが、畑の場合、葉の茂っている位置からは50㎝程度になります。
黒糸は上空から見ると見えにくいですが、下から見上げるとしっかりと見えるので、うっかり触れることを回避できてしまいます。
使用する黒糸は光沢が無ければ何でも良いと思いますが、ホームセンターでも販売されている安価な「鳥よけ黒糸」を使用すると便利です。
高価な耐候性を重視した製品もありますが、短期間ならば十分効果が期待できます。
黒糸作戦にはもう一つ注意点があります。近くにカラスが止まる場所を作らないことです。
支柱や枝などがあると、じっくりと観察・学習できるので、糸を避けて侵入されてしまうからです。
軒などの建物がある場合は止まられない工夫も必要になってきます。
カラスは学習能力が高い鳥です。一度イヤな場所と認識されればパタッとこなくなります。
黒糸作戦が成功するか失敗するかは「作物と糸の間隔」「近くの止まり場」この2点がカギです。正しく糸を張れれば被害はなくなるはずです。