大阪で父と一緒に野菜や花などを育てています。寒暖差がある地域で、できるだけ減農薬、有機肥料での栽培を心がけています。
最近、父の体力の衰えを感じてきたので、元気がつくように私ひとりでにんにくを育て始めました。
収穫の際に「種子用のにんにく」を保存しますが、昨年に続き、今年も貯蔵中に腐敗してしまいました。
保存は日陰で風通しがよく涼しいところに5〜6球を紐でくくって吊るしています。
最初に失敗した時は10球ほどの束にしましたが、腐ってしまったので少し減らしてみました。
にんにく自体はしっかり育っていて、病気もありません。
種子用のにんにくには、大きめのものを選んでいます。思い当たる原因がないのですが、なぜ腐敗してしまうのでしょうか?対応策について教えてください。
(大阪府・阿部さん/仮名・30代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
にんにくは乾燥と保存を分けて考えること。品種選びが盲点の場合も
基本的にはご相談者さまが既に実行されている「風通しが良い日陰の涼しいところ」で保存することは問題ないと思います。
腐敗の状態がよくわかりませんので、一般的に考えられる対策などをお伝えしますが、まず乾燥と保存をセットで行うのではなく、しっかり分けて考えた方が良いかもしれません。
なによりも重要なのは収穫後の乾燥です。乾燥が十分でないまま保存するとダニ等の食害にあったり、カビが発生しやすくなったりして、腐敗につながります。
しっかり乾燥ができたことを確認してから保存してください。
乾燥は、一般的には収穫時の重量から約30%減少させるのが良いといわれています。
雨続きなど、湿り気の多い状態で収穫した場合は乾燥に時間がかかり、病原菌の繁殖やカビの発生につながります。
送風機で風をあてるなどの対応が必要になるでしょう。
茎の部分がポキッと折れるのが乾燥終了の目安です(乾燥不足は、くにゃっと曲がって折れにくい状態)。
ヒモでくくって吊るしているにんにくの乾燥状態を2~3日おきに確認してみてください。なかなか乾燥が進まないのであれば、場所を見直したり、送風機を使ったりして、早く乾燥できる環境を整える必要があります。
腐敗についてですが、鱗片が透明がかった橙色になってジュクジュクしている場合は、高温障害が考えられます。
収穫後および乾燥中に直射日光に長くあたったり、高温になったマルチの上で煮えてしまったりすると高温障害が起きてしまいます。
収穫後はすぐに乾燥場所に移してください。
また、乾燥前の水分量が多い状態で冷蔵庫に入れると凍ってしまうことがあり、それが腐敗する原因になります。
玉全体がスポンジのようにスカスカで軽くなっている場合は、イモグサレセンチュウの被害の可能性があります。
その場合は圃場を変更したり、ソルゴーなどの緑肥を使ってイモグサレセンチュウの密度を下げる必要があります。
なお、ご相談者さまは大阪で栽培されているということですが、寒地系のにんにくを栽培されていることはないでしょうか。
にんにくの品種について、意外と意識されていない方もいるようです。にんにくの品種を確認し、必ず暖地系のにんにくを栽培してください。
のりちゃん
農事組合法人 桑木
何でも考えてみる、調べてみる が大事