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九州や関東で梨が発芽不良だと聞きました。どうしたら防げますか?

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九州や関東で梨が発芽不良だと聞きました。どうしたら防げますか?

最近、九州では梨の発芽不良がよく発生しているそうですが、令和に入ってからは関東でも発芽不良が見られる産地があると聞きました。

幸い私の圃場ではそうした症状は出ていませんが、今後、暖冬傾向がさらに強まることを考えると、注意すべきだと思います。

暖冬だと、花芽が緩んだ際に、急な冷え込みでその芽が凍害を受けて枯死してしまうのだと思います。

そのため、どのような対策を取ったら発芽不良を防げるのでしょうか?
(山梨県・雨宮和輝さん/仮名・50代)

橋本哲弥

橋本梨園

耐凍性を獲得できないまま厳寒期を迎えるのが原因。施肥の時期や用量を見直しましょう

千葉県白井市で橋本梨園を経営しながら、農業・園芸分野のライターをやっております。ご相談ありがとうございます。

地球温暖化の影響で、秋冬季の気温が以前よりも高くなりました。

樹木は一定の低温にさらされることで、寒さに対する耐性(耐凍性)を身につけますが、近年は秋が温暖であるため、耐凍性を獲得できないまま厳寒期をむかえてしまいます。

結果として、樹木が冬の寒さで凍害を受けてしまうというわけです。

ナシの場合は、花芽の発芽不良や枝枯れといった症状が起きています。

温暖な九州の産地では、2010年代前半から発生しており、近年は千葉や茨城などでも散見されるようになりました。

秋の高温で、肥料成分(窒素)が早効きしてしまうことが発芽不良の主な原因です。

これまで、ナシの元肥(基肥)は10~11月に施肥しており、土壌中でゆっくりと分解されて、春から根に吸収されていました。

ところが近年は、秋が温暖になったことで、肥料分を分解する微生物が活発に働き、ナシの樹の根が肥料分を吸い上げるようになります。

今までナシの樹は秋になると徐々に低温にあたって落葉することで、寒さに負けないからだづくりをしていました。

いわば冬眠の準備のようなものですが、どんどん養分が供給され、そして吸収してしまうことで、冬支度(=耐凍性の獲得)ができなくなってしまったのです。

上記のような状況をふまえ、関東以西の産地では、さまざまな対策が講じられています。

その他にも地域によって有効な対策があります。農研機構が2017年に『温暖化により増加しているナシ発芽不良の主要因が、「凍害」であることを解明』という研究報告を発表しております。

その研究内容にもとづいた『施肥時期の変更を中心としたニホンナシ発芽不良対策マニュアル』を公開しております。

以下、対策について簡単にポイントでまとめておきました。

1、施肥時期の変更
窒素を含む肥料や堆肥の早効きを避けるため、元肥(基肥)の散布時期を春(3月)に替えます。農研機構の報告では慣行栽培(9~11月)の施肥に比べて、20%程度枯死率が減少しました。

全量を春散布に変更することに抵抗がある場合は、分肥(12月と3月に分ける)してもいいでしょう。

2、減肥
施肥量がそもそも多過ぎる場合もあります。土壌分析調査を行なって、適量を大幅に超える窒素分の数値が出ている場合は、施用量を抑えましょう。

堆肥の量も要注意です。毎年無計画に堆肥を投入していると、保肥力が上がりすぎて、土が「メタボ気味」になってしまいます。

分析調査結果の数値を見て、適量の施用を心がけましょう。

3、長果枝の利用率を減らす
凍害を受けやすい花芽の割合を減らすのも効果的な手段です。長果枝の花芽(腋花芽)は短果枝の花芽に比べて耐寒性が低い傾向があります。

長果枝の割合が多い剪定をしている場合は、摘心などを徹底して側枝の更新頻度を抑えて、短果枝型の結果枝の割合を増やすという対策も効果的です。


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