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ハクビシンを捕獲する方法やうまく檻に入れる方法を教えてください

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ハクビシンを捕獲する方法やうまく檻に入れる方法を教えてください

福島で桃を育てている農家です。まだ農家になって5年足らずなので、勉強しながら栽培しています。

最近、育てた桃がハクビシンに食べられて、大きな被害が出てしまいました。これまでハクビシンの被害にあったことがなかったので、どう対処すればいいのかわかりません。

農協に相談するとハクビシンが出現したら檻が借りられるというので、罠をしかけてみたのですが、数日たってもハクビシンが全然檻に入ってこなくて悩んでいます。

何か別の捕獲方法はあるのでしょうか?または、檻の中に入るようにする方法はあるのでしょうか?
(福島県・江田さん/仮名・30代)

古谷益朗

野生生物研究所ネイチャーステーション

物理柵と心理柵を組み合わせた「楽落くん」方式がおすすめです

「罠を置いたが捕れない!」は、ハクビシンに限らず、鳥獣害にあっている農家さんからよく聞く話です。ほとんどの場合、現場では食害にあった作物が自由に食べられる状態で罠が設置されています。

動物が自由に作物を食べられる環境では、罠に入らないのは当たり前です。対策としては、作物を侵入防止柵でなどで囲って近づけなくするか、すべて収穫して畑から食べられるものを無くすしかありません。

他に食べるものがなくなって初めて、寄せ餌におびきよせられるのです。

私たちだって、行きつけの店が開いていれば何も考えずにその店に足を運びます。でも、いつものお店が閉まっていたら、しょうがないから例え知らなくても、似たような店ならのれんをくぐってしまいますよね?動物だっても同じです。

行きつけの店を閉じてしまうか、「今日は売り切れ状態」にしなければ、わざわざ罠に引っ掛かるようなヘマはしません。

ハクビシンが大好きな柑橘の畑を守るためには、触れるとビリっと電気が流れる心理柵と、ワイヤーメッシュやフェンスなどで、物理的に侵入を防ぐ防護柵を組み合わせた複合柵が良いでしょう。

埼玉県農業技術研究センターが考案し、設置方法を公開している「楽落くん方式」ならば、簡単で、使い回しできるのでおすすめです。

これは、ハクビシンやアライグマ、タヌキなどの中型動物対策向けに開発したもので、地面から37センチの高さまで張った防風ネットと、その上部に通電線を組み合わせたタイプの複合柵です。

2021年には「楽落くん方式」専用の融着ネットを使用した「かたまったくん」が発売されました。樹脂製ネットより更に軽く、噛みつきに強く、耐候性が高いのが特徴です。

柑橘類はさまざまな品種があるので、収穫期も品種ごとに異なります。したがって被害場所も移動しますから、一度設置してしまうと動かせない固定式の侵入防止柵では、すべての畑に通年で設置しなければなりません。

その反面、「かたまったくん(ナカダ産業)」を利用した「楽落くん方式」の侵入防止柵は移動が簡単なので被害の発生する時期だけ設置することが可能です。果樹だけでなくトウモロコシなど時期をずらして収穫する作物にも有効です。

 捕獲は田畑を守ることで効率よく効果的に進みます。侵入防止柵とセットで考えていただければと思います。

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山本麻希

株式会社うぃるこ/長岡技術科学大学准教授

ハクビシンはニホンザルと同じくらい駆除が難しいです

ハクビシンは、体が平べったくて、高い位置から侵入するので、ニホンザルと同じくらい、防除が難しい動物です。

防除対策には、10センチきざみの4段の電気柵か、上部に1本電気柵があって、下がネットになっている複合型タイプの2種類がありますが、いずれも、しっかり張らないと防除は厳しいです。

農地のそばに建物や木、支柱などがあると、登って上から侵入しますので、足場がある場合は、6ミリのトゲトゲが出ているスチールの有刺鉄板を巻いて登れないようにしてください。

幅10センチくらいで長さ1m、10枚セットで1万円くらいですが、鉄なので1年もするとサビます。私が使っているのは、サビないステンレス製のものですが、こちらは価格が3倍ほどします。

電気柵とネットを組み合わせた複合柵は、埼玉県が開発した「楽落くん」が有名ですが、スイカのような蔓性の作物の場合、蔓が伸びて電気柵に巻きついて漏電する場合があるので、農地からはみ出さない作物に向いています。

また、下草が伸びると漏電するので、私たちは4段の電気柵と、地面部分に防草シートを組み合わせています。防草シートは、動物が侵入する側は20㎝程度張り出すように設置し、長く出しすぎないように設置することが大切です

罠に入らないという相談ですが、罠の周りに柿や栗などハクビシンが好む餌が落ちていないでしょうか?

果樹農家は、収穫しなかった果物や残渣をそのままその辺に捨てていることがありますので、果樹が熟してから罠を置いても、寄せ餌には誘き寄せられません。

ハクビシンは目当ての果樹がいつ食べごろになるのか定期的に見回りにきますので、罠を置くタイミングは、果物が熟す前がポイントです。近隣と協力して、まず周辺環境の整備を徹底して、餌となりそうな食べ物を除去してください。

また、箱罠につきましても、ハクビシンの場合、餌を天井から吊り下げているタイプと、踏み板の2タイプがありますが、体のサイズを考慮したものを選ぶ必要があります。

ハクビシンは体の長さが1メートル、尻尾だけで40センチくらいあるので、奥行きが短いと、踏み板を踏んだときに、尻尾を扉に挟んで逃げてしまう可能性があります。

奥行きがあって、踏み板の位置が適切な罠を選んでください。ハクビシンの場合、ネットに入れた餌を引っ張るタイプの罠がおすすめです。

寄せ餌は魚肉ソーセージを入れることもありますが、野良猫が誤って誘き寄せられる場合もあるので、夏などは毎日、見回りしてくださいね。

罠を置くのは、ハクビシンが通る獣道から、寝ぐらとなる廃屋、農地に至るまで、複数個が必要です。

アライグマなどの集中捕獲では、生息密度を減らすために、300メートルごとに1個置く必要があると言われていますが、農地を狙う個体だけ駆除するのあれば、どこから来て、どこから侵入するのか侵入経路を見極めて、そこに複数設置してください。

そして、農地の周りにはしっかり電気柵を設置するのが絶対条件です。

春先になると繁殖して親子でやってくる場合が多いのですが、子供の方が先に捕獲されると、親は警戒して箱罠にはいらないこともあります。

その場合、例えば「株式会社 三生」さんの「小動物用箱罠」などは、捕獲すると中の様子が仲間から見えなくなるので、警戒される恐れがなくなります。

最後に捕獲した動物の止め刺しについて、狩猟免許をお持ちでない方は止め刺しの方法がわからず、餓死させたり、水に浸けて殺してしまう農家も少なくないのですが、これは動物倫理に反する行為なので私は反対です。

狩猟を許可した市町村は、きちんと止め刺しする技術を教えるべきだと思っています。

今だと電気止め刺し機の手作り方法を紹介しているYoutube動画もありますが、自作の機械は安全性が担保されていないため、危険です。

それだったら、CO2ボンベを箱罠に取り付けて、ゆっくりと二酸化炭素濃度を上げていくことで、捕獲した野生動物の意識を失わせて安落殺できる器具も販売しているので利用してみてください。

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