埼玉県で農業を始めて5年目です。脱サラして野菜と米作りをしています。
農地は広くありませんが、自分なりに土壌改良を重ね、農薬や化学肥料を使用しないことを基本に作物を育てています。
有機の米栽培は慣行米と比較すると、厳しい部分も多々あります。天候に左右されやすく、収量も不安定です。
そして、なにより草刈りや田んぼの除草が非常に大変です。
機械を使わずに田転がしやデッキブラシを使って除草していますが、最近は子供(小3と小1)にもデッキブラシをもたせてやらせたりしています。
雑草の中でもコナギには非常に悩まされています。稲作を始めた当初は除草が不十分だったせいで、水田で繁茂し、稲の生育に大きな影響が出てしまいました。
それ以来、現在は年に最低でも4回、除草作業を行っています。
いまのところは30代ですので頑張れますが、今後のことを考えると何か対策を考えないといけないと思っています。やっかいなコナギ対策のポイントを教えてください。
(埼玉県・高橋さん/仮名・30代)
NPO法人 緑地雑草科学研究所
NPO法人 緑地雑草科学研究所
3%に希釈した酢酸液の散布や、密植によってコナギの光合成を抑える方法などがあります
コナギは水田に常に存在する雑草の一つです。
特に畔際や、水位が浅く、土面の露出したところやイネの生育の悪いところなどで発生しやすい性質があります。
とりわけ、イネの生育が遅れるような時は、コナギがより旺盛になり、イネへの雑草害がますます大きくなる恐れがあります。
さて、コナギの防除については、イネの生育初期に実施することが重要で、田植え前後の薬剤処理(コナギに登録のある土壌処理剤や一発処理剤)で大部分を抑えることができます。
有機米栽培の場合は、酢酸液(酢)の散布(3%希釈、葉の乾燥時期の施用)、水稲の密度を上げることでコナギに届く光を抑え、抑制する方法も報告されています。
また、農研機構からは「水稲有機栽培の手引き」として、有機物を散布して光合成を抑制する手法や、湛水維持によって抑制する手法などが公開されていますので、コナギ抑制の参考にしてください。
なお、コナギは水稲の随伴雑草で、イネから溶出する“何か“によって発芽が促進されます。そのため、有機物の散布の場合、米ぬかの投与はかえって発芽を促進して逆効果になるかも知れませんので注意が必要です。