新規就農して5年ほどになりますが、年間30品目程度の野菜を生産しています。
玉ねぎの止め肥について伺いたいのですが、2022年は11月後半に植え付けを行い、肥切れしないように12月末、2023年の2月上旬、3月上旬に計3回の追肥を行いました。
秀品の玉ねぎができそうだと思ったのですが、いざ収穫のタイミングとなる5月になっても倒伏しませんでした。
そこで先輩農家さんに相談してみたところ「止め肥が遅かったのかもね。腐りやすくなっちゃうな」と言われました。
自分でも止め肥のタイミングは意識していたのですが…。2度と同じ失敗をしないように注意したいのです。
育てている品種は、耐病性が強い「ソニック」です。
単純に時期だけで追肥を行うのではなく、玉ねぎの様子を確認して行うことがベターだとは思うのですが、その見極め方がまったくわかりません。
どのように確認すればいいのでしょうか。
(東京都・大川さん/仮名・30代)
五十嵐大造
東京農業大学国際食料情報学部 国際食料情報学部(前教授)
止め肥を施用して、肥効が切れる頃が収穫期。止め肥の時期をずらすより、追肥で調整しよう
玉ねぎ の「止め肥」の判断はなかなか難しいところがありますが、まず対象品種は「ソニック」ということで、これは早生種にあたります。
玉ねぎは早生から晩生まで収穫期に幅がありますから、それに応じた施肥が必要となります。
止め肥というと、もうこれ以後は施肥(追肥)しないという意味ですが、肥効は収穫期までは持続しているのですが、徐々に減少していくことになります。
ソニックでは、5月早々あるいはもう少し早く収穫時期となりますから、逆算して概ね2カ月くらい前の2月末頃が止め肥の時期になります。
相談者さんが言っておられる、株全体の草姿を見て判断と言うよりも、止め肥を与えてちょうど肥料が切れる頃が収穫期となるので、余分な肥料を吸収させないことが大切です。
止め肥のときに生育が旺盛で、止め肥の前に施用した追肥がまだ十分効いているようなら施肥時期をずらすのではなく、肥料を減量することで対応しましょう。
玉ねぎの肥大は、栽培地域の違いによる差はありますが、気温とともに日長の影響を受けるので、収穫時期は品種によってはっきりしています。
したがって前述のように施用時期をはっきりさせておくのが基本と考えられます。
もし有機肥料を中心に施用するのでしたら、有機肥料はゆっくり効いてきますから、その分、2カ月よりもう少し前に施肥を行うのが良いと思われます。
止め肥が遅くなったときの問題点は、「貯蔵性が劣る点」です。
玉ねぎが肥大しているときにチッ素過剰(過N)となると、これは玉ねぎに限ったことではありませんが、貯蔵性は低下してしまいます。
止め肥のときに生育が貧弱だったらもっと多く、あるいはもっと遅い時期まで施用したくなるかもしれませんが、それは止め肥前の途中の追肥でうまく調節することが大切です。
玉ねぎは肥大時期および収穫時期が温度および日長の関係ではっきりしていますから、繰り返しになりますが、日程をはっきりさせておくことを基本としてください。