島根県の野菜農家です。会社員として工場勤務をしていましたが5年ほど前から農家を継ぎ、今は主に玉ねぎとブロッコリーを栽培しています。
圃場は1.5ヘクタールほどですが、栽培に使っていないビニールハウスが2棟と作業小屋もあります。ビニールハウスでは一部で家庭菜園用の野菜を栽培しています。
夏場に猛暑が続き、玉ねぎの貯蔵中に黒カビ病が年々発生するようになっています。
これまではビニールハウス内で乾燥や保管をしていましたが、それが良くないと聞きました。
今年から収穫した玉ねぎは可能な限り作業小屋の中の木材に吊るして保管していますが、もとは父が水稲栽培をしていた頃に農機具を収納するために建てたもので、広さはビニールハウスの1/4か1/5程度しかありません。
保管先を移してみた結果、確かに作業小屋に保管したもののほうがハウスよりも黒カビ病の発生が少なくなっていました。
しかし、狭い場所でこれ以降個数を増やして詰め気味に置いていくのもあまり良くない気がします。
黒カビ病の発生が少なくなる玉ねぎの保管場所や乾燥方法があれば教えてください。
(島根県・福田幸一さん/仮名・50代)
井澤孝宏+綾華
井澤農園
灰色カビ病にかかった玉ねぎは保管せず、保管場所の換気や清掃を行いましょう
私たちは北海道中部の栗山町で4代続く農家です。
70年間、化学肥料や農薬の使用量を通常栽培の半分以下に抑えて、有機肥料をたっぷり与える「減農薬栽培」で10種類の玉ねぎを生産しています。
質問者さんが「黒かび病」とおっしゃっているものは正式名称は「灰色カビ病」や「灰色腐敗病」というものです。
畑での感染の場合、畝株の間隔が狭かったら通気性が悪く伝染しますので株間が適切かどうかもチェックしてみてください。
貯蔵後はどの玉ねぎも同じ空間に保管されると思いますが、灰色カビ病を持つ個体があったらどんどん腐敗が伝染していきますので、要注意です!
基本的には灰色腐敗病にかかった個体は保管しないようにしましょう。そして保管場所が空になった時に、換気や清掃をよく行いましょう。
さらに取れる対策としては、農薬散布のほか、貯蔵施設は圃場や廃棄場所から離れたところへ設置するなどです。
収穫前の乾燥も貯蔵中の発生を防ぎますよ。
湿気の多い圃場で被害が多い病気なので、地下水位の高い圃場であれば高畝栽培にしてみるのも有効です。
窒素を多用すると発病を助長しますので、肥料バランスも見直してみてください。
また、多発している場合はネギ類以外の作物を2~3年作ることで改善が見られます。