千葉県南部で脱サラして小さな農園を営んでいます。できるだけ農薬や肥料を使用せず、自然の力を引き出す形で野菜を育てています。
団粒化させた土壌に根をしっかりと張った作物はとても元気で、甘みが強い味に育っています。
しかし、最近キョンの被害に悩んでいます。
数年前から被害はあったのですが、ここ最近はかなり深刻です。
キョンは作物の芽、葉など、なんでも食べてしまいます。
とくにナスは年々被害が多くなってきています。あとはトマト、ジャガイモの芽などがやられています。
現在は高さ1メートルほどの防獣ネットで防いでいますが、それも飛び越えるようになってきました。
ネットの隙間を見つけ、もぐり込んで侵入することもあります。
このままだと被害は増えるばかりです。どんな方法でキョンの被害を防げばいいのかアドバイスをください。
(千葉県・山田さん/仮名・30代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
キョン対策のネットが垂れ下がってませんか?電気柵との併用も検討しては?
キョンはジャンプ力が優れていますが、1mの高さはほとんどの個体は超えられないはずです。
使用されている資材が防獣ネットで1mほどの高さとなっていますが、支柱の間がたるんで下がっていませんか?
キョンは柵の中に侵入したいときはネットを強く押します。
これによりネットが下がってしまうことがよくあります。
1mで張ったつもりが実際には低いところが80cmだった…ということをよく聞きます。
キョンは1m以下になると超えてくるので注意が必要です。
キョンは小さな動物です。人間が考えるより狭い場所から侵入します。
ネットと地面の間に隙間があると(隙間がなくても力を加えると持ち上がる)狙われるので裾しっかりととまっているかも確認して頂けたらと思います。
金属柵などを利用する場合は目合いが5cmのものを使用します。10cmでは抜けられるので注意してください。
高さが1mを保っていて裾もしっかりと固定されていても侵入される場合は柵の手前に電気柵を設置します。
電気柵だけの場合は通電線の間隔は10cmで4段必要ですが、今回の場所はすでにネット柵があるので地上から20cmに1段張ることで効果があると思います。
キョンは環境適応能力が高く急速に増加する動物です。特定外来生物にも指定されているので捕獲も進めていかなければなりません。
しかし現在の状況では捕獲で被害を減少させることはできません。自分の農地は正しい技術でしっかりと守ることが優先です。