茨城県で小玉スイカをメインに栽培しています。
私たちの集落でも、とうもろこしやスイカなどが、ハクビシンやアライグマ、たぬきなどの食害が毎年続いて困っています。
ネット柵と電気柵を組み合わせた防護柵が効果的だと聞いて、多くの農家がこの方式の柵を設置していますが、すべての被害は防ぎきれません。
集落全体では、年に2回ほど協力し合って、畑のまわりの雑木林の下草や、耕作放棄された畑などの雑草を刈っています。
さらに、有害獣の餌になり得る野菜の収穫残渣や生ゴミなどの処理も適正に行うよう啓発しています。
ただ庭先の柿など、果樹を100%の取りきることは難しく、毎年取り残しが出るので被害ゼロにはなりません。
捕獲は農家組織の役員を中心に、春から秋にかけて畑周辺に踏み板式の箱ワナを仕掛けています。
食害を受けた畑の柵の外側にも仕掛けているので、ときどきワナにかかることもありますが、個体数の減少につながることはありません。それに箱ワナは小型なので、1回に1匹しか獲れません。
おそらく親子が群れになって行動しているはずなので、捕獲できなかった個体が周辺で被害を拡大させていると思います。
畑に被害を及ぼす中型動物を全頭捕獲できるような、上手な箱ワナの仕掛け方を教えてください。
(茨城県・広瀬泰彦さん/仮名・50代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
中型動物を短期間で全頭捕獲するには、複数の箱ワナ設置を!
畑を荒らしている個体を確実に捕獲したい場合は、被害に遭っている食べ物をエサにおびき寄せることが一番です。
ただ、被害現場をそのままにした状態では捕まりません。安全に食べられる場所を開放して自由に出入りできるようにしていたら、わざわざ狭い箱ワナに入ることはありませんよね。
正しい侵入防止柵でしっかりとガードするか、収穫できるものであれば、早めに収穫してしまってから畑に設置すると良いと思います。
複数頭で来ている場合は、箱ワナも複数設置します。なるべく日数をかけずに全頭を捕獲するためです。
親子の場合、1つの箱ワナが作動してもあまり逃げようとしません。むしろ、箱ワナに捕まった仲間の周りをウロウロして残っているケースが多いようです。
とくにアライグマはこの傾向が顕著です。これらの個体は、複数のワナが設置してあれば入ってしまいます。
被害があった現場では、捕獲作業を始めた後も、「ここなら美味しいモノにありつける」という記憶が残っている個体であれば、たとえ身内が捕獲されたとしても、最初の捕獲から3日くらいは近くに現れるので、複数の箱ワナで捕獲するチャンスです。
現在、多くの獣害現場で行われている箱ワナ1台の運用では、3日間で捕獲できる数は最大3頭です。仮に親子を含めた6頭の群れが出現する場合、3頭は取り残しになりますから、日数をかけずに捕獲するために「複数設置」をオススメしたのはこれが理由です。
費用はかかってしまいますが、取り残しを無くす捕獲方法は複数ワナの設置だと思います。
最後に、繰り返しになりますが、くれぐれも被害作物を放置したままでワナを置くことは避けてください。