新潟県で枝豆などを中心に野菜を栽培している40代男性です。
トヨタの農業IT管理ツール「豊作計画」を利用して稲作の管理している人が、以前からまわりに何人かおります。
効率的に農作業ができるという話は耳にしていましたので私も興味はありましたが、野菜は該当していないとのことで残念に思っていました。
しかし、2020年に「豊作計画」が刷新されたとのことを知りました。
かなりバージョンアップしたようですね。野菜や果樹など、幅広い作物、品目の管理も可能になったと聞きました。
インターネットで内容を確認してみたところ、かなり便利で多機能だというのはわかりました。
しかし、私は細かい作業が得意ではないので、途中でギブアップする可能性もあります。
できましたら徐々にできることを増やしていきたいと考えています。
導入する際に押さえておいた方がいい機能、かかる費用の目安、さらに使いこなせない人のためのサポート体制などを知りたいです。
また、恥ずかしながらあまりパソコンにも詳しくありません。
スマホでも利用可能だと紹介されていましたが、スマホもさほど使いこなせておりません。導入する際、やはり安いパソコンを準備した方がいいのでしょうか?
(新潟県・斉藤さん/仮名・40代)
田中克樹
農と風土の学び舎
「トヨタ豊作計画」以外にもさまざまな営農管理システムがあります。
「トヨタ豊作計画」は愛知県内の小学生の副読本で紹介されているほどに認知度が高いシステムです。
「Kaizen(カイゼン)」として世界的に注目されているトヨタ自動車株式会社の生産方式の考え方がベースに開発されているだけあって、これまで多くの米・麦・大豆栽培を行う農業生産法人などの現場で経営改善に大きな成果を上げてきました。
サービスの提供は2014年から始まっていますが、2020年に従来の米作(麦・大豆含む)だけでなく、露地野菜やハウス栽培等に幅広く適用できるように、適応品目が野菜・果樹・畜産などにも拡大されました。
また、生産における作業行程の管理だけでなく、広く販売・経営などもサポートする機能が追加され、同年4月よりサービス提供が始まっています。
新たに追加された機能の大きな特徴は、受注、人員、生産、出荷、在庫といった一連の情報を一元管理できるようになったことです。
生産計画の精度を上げることで廃棄ロスや出荷の遅れを減らしたり、これまで経営者の負担となっていた生産や人員配置の計画の作成をサポートして管理業務の効率化を図ったりすることが可能となりました。
「トヨタ豊作計画」のホームページには、システム導入による改善事例が掲載されています。作業工程ごとの課題(たとえば播種準備時間、苗運搬作業、育苗破棄率など)やそのほかの課題(たとえば人材育成時間、農機部品交換、作業場安全など)ごとに丁寧に紹介されていますので参考になります。
また、「トヨタ豊作計画」以外にもさまざまな営農管理システムがリリースされています。例えば「Z-GIS」「アグリノート」「しっかりファーム」などです。
それぞれに特長がありますので、詳細は各サイトをご覧になってください。機能の一部を無料公開しているものもあります。それらを試しに使い、どのようなことができるのか、使い勝手を判断することから始められてはいかがでしょうか。
下村豪徳
笑農和 代表取締役
「豊作計画」は生産工程を細かく管理することで効果がアップする
トヨタ自動車が開発した「豊作計画」は、トヨタ式改善を農業現場に適用するためのコンサルティングを行いながら導入することで、現場が改善されるツールです。私の知っている農家様でも何件か利用されていますが、改善の度合いは素晴らしいと思います。
相談者様はスマホやパソコンの扱いに不安を持ってらっしゃるようですが、それ以前に大事なことがあります。
それは「豊作計画」は生産工程をかなり細かく管理する必要があることです。管理レベルが高くないと、入力そのものが何のために行っているのか?となってしまうかもしれません。
入力が充分にされない場合、結果として入力した結果を分析できなくなります。そうなると改善できません。導入を考えているならば、まずは何のためにツールを使うのか?の具体的な目的をしっかり持ちましょう。
その目的を達成する手段として、まず最初にこの工程を改善したいと明確な目標設定を段階別に持っていると有効的です。
また、現場の整理整頓も改善されますので、現場に5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が適用されるのも良いと思います。
「豊作計画」は何もしなくても結果が出る魔法の道具はありません。利用する側の熱意に比例して満足度がアップしていくものと心得てください。