自然豊かな環境で子育てをしながら、仕事と家事を両立させたいという気持ちが強まり、実家がある茨城県へ家族で引っ越し、ネギの専業栽培を始めました。
ウチの農園では、3種類のネギを作っているため、ほぼ1年中出荷しています。ネギ農家を始めて3年目に、第一子が生まれました。子どもが1歳になって、保育園へ通わせるようになりました。突発的な病気や保育園のイベントへの参加などで忙しく、仕事と子育てのバランスを取るのに四苦八苦しています。
ネギの種類ごとに収穫サイクルが違いますし、一番美味しい状態で出荷するためにも、毎日ネギ畑を見極めなければなりません。
今日には収穫できるだろうと思っていても、天気が悪くて予定がずれてしまったり、予想外に収穫が早まったために保育園のお迎え時間に遅れてしまうことも度々あって悩んでいます。
仕事を効率化させるために、ネギの成長や収穫時期を予測できるような管理システムがあったら、ぜひ取り入れたいと思っています!
(茨城県・伊藤さん・20代)
村山邦彦
伊賀ベジタブルファーム株式会社
生育記録と販売方法の工夫で、ゆとりある環境は作れる!
成長や収穫時期を「見える化」したいとのことですが、そのために必ず必要になるのは「データ(記録)」です。品種ごと、季節ごとの生育と収穫サイクルが実際どうなっているかを記録できていれば、3年分のデータを基に収穫時期の予測をすることはそれほど難しくないように思います。
ただ、記録の残し方によっては、後から利用するのが難しい場合もあるでしょう。
ご質問のケースでは、栽培管理記録などをもとに、品種ごとに「いつ播種した場合、何日後に収穫できたか」という情報を表計算ツールなどで整理してみるのがよいと思います。
そうすると、季節ごとの播種から収穫までの予想日数を「見える化」できます。市販の種袋に描いてある播種~収穫カレンダーを自前で作っておく感じです。
毎年の天候変化によって収穫の日数がどの程度前後するかを予想するには、「積算温度」を計測しておくことが有効かもしれません。
積算温度は一日一日の平均温度を生育期間にわたって足し算するもので、高い値になるときは生育が早まるし、低くなれば遅くなることが予想できます。日々の日報などで記録をつけていれば、表計算ソフトで栽培ロットごとに集計することはそれほど難しいものではありません。
清水 寅
ねぎびとカンパニー
収穫が遅れたら追肥してOK!ネギ栽培は子育てとの両立に◎
子育てなどで忙しいという方には、ねぎ栽培は比較的向いていると思います。
葉物やキュウリなどは収穫が遅れると痛んでしまいますが、ねぎなら1ヶ月くらい置いても痛むことがないので、もう少し肩の力を抜いても大丈夫です。
もし、スケジュールが合わずに収穫が遅れる場合は、追肥をするとよいでしょう。「一番よい日に出荷したい」と思うかもしれませんが、追肥することで硝酸値が上がりづらくなり、美味しさを保つことができます。出荷日に猶予ができるので、子育てなどとのスケジュール調整もしやすくなるのではないでしょうか。
また見える化については、品種や時期、太さ、出荷基準にもよりますが、経過日数を目安にすればよいと思います。例えば「種蒔きから60日以内に定植」「定植から120日以上で収穫」「210日以内で出荷」といった具合です。
出荷が遅れる場合は、有機肥料を10a当たりN量2キロを追肥すると良いでしょう。