茨城県でにんにく、さつまいも、レンコンなどを中心に栽培しています。
とくにレンコンは甘さもあり、肌色の白さや形にも自信があります。
しかし、ここ数年は収穫時にえぐられたような傷が目立つものが増えてきました。
県の調査の結果、どうやらカモによる食害が原因のようです。
しっかりと対策を考えていかなければならないのですが、どうすればいいのか見当がつきません。
単純にネットを張るような方法しか思いつきませんが、作業が増えるのは年齢的に身体がキツくなってしまいそうです。
なにか被害を減らす方法はないでしょうか?
(茨城県・石川さん/仮名・60代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
レンコン栽培での鳥対策は、研究が進められていますが、技術は確立していません
鳥類による農作物被害は年々増加しています。とくにカモによる被害報告は急増しています。なかでもレンコンの被害が大きな問題となっています。
以前はカルガモなどの渡りをしない留鳥被害だけでしたが、最近はマガモやヒドリガモなどの冬鳥の被害が加わるようになっていると思います。
この背景には、日本で越冬した鳥が、暖かくなった季節に北の繁殖地に移動する“北帰行”のタイミングが遅くなっていることが挙げられます。
北帰行しない鳥の一部は、国内で繁殖している可能性があります。この現象は今後も加速し、国内に留まる個体が増加することが懸念されます。
問題は深刻なのですが、解決は難しい現状があります。
第一に相手が鳥だからですね。鳥は食いだめができないので食べ物に対する執着心が異常に強いのです。
外敵に対する警戒心よりも、生きることを優先しますので、餌場として認識したら、物理的に防ぐしかありません。
ドローンや水上からの圧力による追い払いも技術としては確立されていません。鳥対策は獣対策よりも難しいと思っていただきたいと思います。
研究は進んでいます。全国ではレンコン被害だけでなく麦やブロッコリーなどの畑作にも問題が発生しています。広いエリアでも近づけさせないICTやAiを使った技術の検証なども最終段階に入っています。
研究現場でも最優先課題として認識しています。すぐにお悩み解決とはならないことをお詫びします。