滋賀で葉物野菜を多品目少量生産している、3年目の30代です。
農薬と化学肥料を減らす栽培を目指し、直売所や都市部の飲食店と取引をしています。
9月に露地栽培で播種した水菜や小松菜の一部に、10月にダイコンサルハムシが付きました。
見つけては1匹ずつつぶし、被害のあった場所には薬剤散布し、圃場の周囲の雑草も処分しましたが、今後も繰り返し発生するのではと不安です。
調べてみたところ、気温の高くなる夏に土壌の消毒をしたほうが良いようなので、太陽熱での消毒をする予定です。
他にもダイコンサルハムシを再発させないための対策があれば、教えてください。
(滋賀県・田中さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
基本的な対策をしつつ、コンパニオンプランツや寒冷紗の導入や、土壌消毒を行いましょう
私は三浦半島の「ブロ雅農園」で、環境保全型農業を行っています。私も相談者さんと同じく、「農薬に頼らない」スタイルで経営をしています。
まず、病害虫対策の基本的なポイントとして、「連作をなるべくしないこと」と「窒素を過剰に散布しないこと」をご留意ください。
可能であれば、シーズンごとに品目を変えて栽培するのが理想です。
1、コンパニオンプランツを活用する
ただ、現実的には難しい場合も多いので、我々の農園で取り入れている方法の1つが「コンパニオンプランツ」の利用です。
ネギやニラには忌避効果があるので、圃場に作物と一緒に植えることで、病害虫を遠ざけ、侵入を減らせる可能性があります。
2、寒冷紗を導入する
また、最も効果が高いのは「寒冷紗」を掛けて、物理的に寄せ付けない方法です。
種を撒いた後に、目の細かい寒冷紗をベタ掛けします。状況によっては、収穫間近まで寒冷紗をかけて物理的にダイコンサルハムシを防ぐのも効果的です。
3、土壌診断を受ける
夏作と冬作の作付け前に、土壌診断を受けることをおすすめします。農協やホームセンターで対応してくれる場合もあります。
前に栽培した野菜の残肥が残っていたり、堆肥の窒素分を考慮不足で過剰になっていたりするケースがよくありますので、ご注意ください。
4、土壌消毒は太陽熱がおすすめです
土壌消毒には、「農薬による土壌消毒」と「太陽熱処理による土壌消毒」がありますが、相談者さんはなるべく農薬を使いたくないということで、「太陽熱処理」をご紹介します。
文字通り太陽の熱を利用した土壌消毒ですが、太陽熱を最大限に生かすには、土壌を発酵させ、「発酵熱」を利用する必要があります。
以下の手順を参考にしてみてください。
1、夏の暑い時期に、畑に米ぬかや堆肥などを投入します。
2、雨が降った後など十分に水分を含んだがある状態で、透明のビニールでマルチングします。この時、ぴったりと空気を入れないのがポイントです。マルチャーがあると便利です。風でビニールが動いたり、プカプカ浮いたりしているようではうまくいきません。
3、この状態を約1ヶ月維持すると、太陽熱処理が完了します。マルチをはがしたら耕耘はせずに、そのまま播種してください。太陽熱処理がしっかりできていれば、雑草の種も熱で死んでしまうので、雑草対策にもなります。
太陽熱処理のリスクとしては、晴れの日の日数に効果が依存することです。天気が悪い日が続く、暑い日の期間が短いなどの気候の時はうまくいかない場合もあります。
また、当たり前ですが、太陽熱処理を行っている期間、その場所では作業ができませんので、いきなり全面で行わず、「根菜類のみ」や「苗床のみ」など、場所を区切って段階的に実施するなどの工夫が必要です。