茨城県の関東ローム層という柔らかい土地を活かし、ネギとレタスの露地野菜を交互に栽培しています。
20代で両親の畑を継いだので、農家になって30年ほどになります。
ネギ農家の悩みは梅雨のジメジメ。暑さや湿気が大の苦手のネギは、油断すると根本が白っぽくなる白絹病(しらきぬびょう)や、株元の周辺が柔らかくなって腐る軟腐病(なんぷびょう)にやられてしまいます。
近年では激しい異常気象が原因で、ネギ畑が水没してしまったり、根腐れしたりすることも起きるようになりました。
苦労して育ててきたネギが満足に収量できないことは悲しいことですが、ネギに関しては契約栽培で生産していますので、お客様にも大きなご迷惑をおかけすることにもなります。
今後も、異常気象への対策をしたり、土壌改良にも力を入れていこうと考えています。
ですが、お客様に迷惑をかけないよう、生育の状況や収穫予想をお伝えしたり、事前に収穫量が把握できるような明確な栽培計画を作りたいです。
栽培目標や課題の見つけ方、年間計画を立てる具体的なポイントを教えてください。
(茨城県・飯田さん/仮名・20代)
清水 寅
ねぎびとカンパニー
目標を達成できなかった場合の状況や原因を記録して対応する
当社も同じですが、全国で同じ悩みを抱えている方は多いです。乾燥はまだいいのですが、雨が多いのが問題ですね。当社では問題解決のために数年前から工夫し、かなり改善することができました。
ポイントは、
1、田んぼ(水はけの悪い所)での栽培はやめる
2、微生物を増やしていく(菌の数より種類)
3、抜群の団粒構造(土の塊が植物の根によって砕かれ、徐々に土が細かくなっていく状態)を作る
4、作付け面積の2~3倍の畑を確保し、連作しない(1年作ったら1年休む、1年作ったら2年休むなど)
5、防除を見直す(病害虫の発生条件を理解する)
があり、とくに1と4が重要です。なるべく優先的に実行してみてください。
また、栽培目標ですが、10a当たり600ケース(5kg入り)、70%以上2L(チェーンポット(紙製の育苗資材)がCP303であれば8割)と考えてください。発芽や育苗技術がポイントとなりますので、苗にどんな特性があるかを知っておく必要があります。
もし、栽培目標を達成できなかった場合、どの段階で悪かったのか、天気が原因なのか、考えられる理由をできるだけ詳細に記録しておくと、課題が見つけられるようになります。
年間計画は、水害にやられる事を前提に考えると多めに植えるしかありません。そのためには、3月植え、4月植え、5月植え、6月植えは通常通りに行い、何ヶ月で取れるのか集計を取ることから始めてください。あとは数値を表にしていけばいいと思います。
当社の場合だと、4月1日~6月10日まで植えていき、8月1日~12月末日までの期間に収穫しています。有機肥料で追肥しながら安定生産を実現させていくイメージです。