山梨県北部の山間部で、湧水を引き込んでニジマスやヤマメ、イワナを中心に養殖業をやっています。
近くにコロニー(生息地)があるのだと思いますが、たびたびアオサギやカワウなどがやってきて養殖魚を食べてしまいます。
最近では特にカワウが頻繁に現れて、非常に困っています。
生け簀ごとに上に防鳥ネットを張ったり、ロケット花火で追い払ったりしていますが、被害が一向になくなりません。
犬を離したりするのも効果的だと聞くのですが、近くに別荘や民家が多くあるので、鳴き声などの苦情が来るのではないかと気になります。
他に、効果的な対策はないものでしょうか?
(山梨県・田中さん/仮名・60代)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
ネットやテグスの張り方を工夫して効果アップを!
山間地域での淡水魚養殖にあたっては、野鳥による食害が大きな問題ですね。その対策として、全国内水面漁業協同組合連合会の「カワウに立ち向かう〜基礎から実践へ〜」や、岩手県内水面水産技術センター「平成24年内水面養殖業におけるカワウ等鳥類による食害被害調査結果」を基にアドバイスさせていただきます。
養殖場・野池の防除対策として、網目30cm以下の網で完全に覆うことが一番とされています。また、池の周囲もキュウリネットで覆うと効果が高いと指摘しています。テグスを張る場合も30cm以下の間隔で張ることが重要としています。
食害防止対策として効果が高いのは、
1.防鳥ネット
2.防鳥ロープ(防鳥糸)
3.ロケット花火・人間による追い払い
以上の順でした。なかでも、防鳥ネットが最も効果が高いという結果です。
養殖場におけるカワウ飛来の防除対策としては、テグスやネットを用いた方法が最も効果が高いです。テグスを張る場合は、間隔を30cm以下とし、形状を複雑に張ったり、平行に張る場合でも段の高さを変えたりするなど、張り方に工夫があると効果的でしょう。
対策を既にとられているのに被害がなくならないということであれば、ネットの網目の大きさを小さくしたり、テグスの張り方を工夫したりするなどの見直しを行った上で、地域として取組をすすめてもらうよう、県に指導や支援をお願いする必要があります。