現在、佐賀県で養殖業を行っていますが、以前から困っていることがあります。それは鳥害です。中でもカラス被害に悩まされています。漁場で養殖魚に餌をあげる際、その餌を食べようと、たくさんのカラスがやってきます。
餌だけならまだしも、養殖魚そのものを狙うカラスもいて、商品である魚が食べられたり、傷付くなどの被害があります。また、賢いカラスは、魚を取りやすくするためにと、網を引き裂くものもいて、道具への被害も出ています。
養殖場は海上にあるため、かかしを置くこともできませんし、カラスが嫌がる音波を出す装置を設置することもできません。現在、音追いピストルなどで撃退していますが、他によい撃退方法はありませんか?
(佐賀県・青木さん/仮名・45歳)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
ネットやテグスを張ってカラスの侵入や飛来を防ごう
長崎県農林部農政課の「カラス対策の手引き」を参考にすると、まず、カラスは餌の食いだめができないため、餌となる物を減らすことがカラスを減らすことにつながります。
そのため、保管してある餌が、カラスの目に付く場所に置いてある場合は、見えないところに保管しましょう。
次に、カラスの侵入を防ぐ最も確実な方法はネットを張ることだと言われています。その場合の注意点として、網目が約10センチ以下の網を使うことです。
その際、地面や止まり木になる物がある場所では、カラスが羽をたたんだ状態で侵入するため、特に網目の細かい物を使うとよいです。
また、ネットを購入しなくても、古い漁網を代用すれば経費も節減ができます。
最後に、ネットが全面に張れない場合や、より簡単な方法でカラスを遠ざけるには、竹や単管パイプなどの棒に見えにくい色のテグス(釣り糸)などを張ることも有効です。
見えない物に引っかかるという痛みと警戒心により、飛来を阻害する効果が得られます。カラスは学習能力が高いので、こういった対策を検討してみてください。