道南で稲作を40年ほどやっています。現在60代半ばになりますが、おかげさまで元気に仕事ができております。
とはいえ、還暦を過ぎた頃から畦(あぜ)で刈り払い機を使うのがキツくなってきました。
そこで除草剤を使うようにしました。おかげさまで畦の雑草はなくなりキレイになりました。
しかし、畦がもろくなり、少し崩れてきてしまいました。
どうやら雑草がなくなったことが原因のようです。もろくて危ない部分は鍬を使って直せばいいのですが、力作業はなるべく避けたいです。
除草剤で畦を完全に裸にしてしまうのは良くないことだとわかりましたが、かといって畦の強度を守ってくれるように雑草を適度に残す除草剤のうまい使い方がわかりません。
具体的には、スギナなどは残して他の雑草を退治する除草剤の撒き方を教えて欲しいです。
(北海道・伊藤さん/仮名・60代)
加藤正広
千葉県農林総合研究センター 花き緑化研究室
センチピードグラスは管理が大変ですが、雑草の抑制に効果的です
センチピードグラスという植物を活用する方法をご存知でしょうか。
センチピードグラスは雑草を抑制し、年を追うごとに草刈り作業が軽減できるようになるのが特徴です。
畦畔法面(けいはんのりめん/畦の斜面部分)を管理する新たな選択肢として、千葉県での現状をお伝えします。
センチピードグラスは草なので、虫害を心配される方もいらっしゃいます。しかし、現時点であまり問題になってはいません。
出穂したセンチピードグラスにカメムシなどが付くのが心配な方は、穂を切ってしまえば問題ありません。
もっとも大変なのが、種まき後の管理です。センチピードグラスがしっかり生え揃う前に農家さんが諦めてしまうというパターンが少なくありません。
センチピードグラスは発芽までに2~3週間、成苗になるまでに3~4ヶ月かかります。すると雑草が先に発芽してしまい、ひどい場合には畦が雑草まみれになってしまうということが起こります。
対策として空いているビニールハウスで成苗を育てて、法面にそれを植える方法もあります。
この場合は成苗までの時間は短縮でき、種をまくよりも確実な方法といえるのですが、植えた後の3~4週間はたっぷり水やりする必要が出てきます。
センチピードグラスで地面を覆ってしまえば、雑草の発生は極めて少なくなり、管理も軽減されます。土壌の流亡抑制への効果も大きいので、畦の強度を守ることができます。
種まき後の初期育成期間の管理は大変ですが、手間を惜しまずに面倒を見れる余力があるようでしたらおすすめいたします。
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
根を残すタイプの除草剤を使えば、畦の緩みや崩れの心配もなくなります
畦畔への農薬散布についてですが、やはり雑草を根絶やしにしてしまうと、土壌の流亡が促進されて畦が崩れてきてしまいます。
基本的には広葉雑草の防除には効果が高く、イネ科の草は枯らさないタイプの農薬を使用していただくのが良いと思います。
また、「抑草剤」として販売されている商品も一度調べてみてください。雑草の草丈を抑制させるタイプ、葉や茎だけに作用して根を残すタイプなどの除草剤ですと、畦や傾斜地が崩れる不安もありませんので安心して使えます。