露地栽培でキュウリ、トマト、ナス、ホワイトコーンなどの夏野菜を中心に、旬の野菜を育てています。
ナスは「千両ナス」を育てていますが、最近は「黒ベエ」などの品種にも挑戦しています。
3月頃から種をまき、5月頃に植え付けして、夏から秋にかけて収穫しています。
いままでトラブルなく栽培できていたのですが、昨年は「千両ナス」で、実の固いものや、ツヤがイマイチなもの、変形気味のものが目立ちました。
水やりは朝夕の2回きっちりやりましたし、マルチで乾燥も防いでいたのですが、それでも暑さと水やり不足だったということでしょうか。
今年は同じ失敗はしたくありません。
しかし水のやりすぎになってもよくないので、水やりの適正量を見極める方法を教えてください。
(福島県・菅原さん/仮名・30代)
イチロウのゼロイチ農業(旧さいこうやさい)
ナスの水やりはとにかくたっぷり、がポイント。通路に水があふれるほどの量を与えながら、肥料との相乗効果でぐんぐん伸びる
30代の同年代からの質問を嬉しく思います。ぜひしっかりと収穫できるようになり、次の世代の農家として一翼を担っていただけるようになってほしいと思っています。
今回は動画で解説した内容にプロ向けのフォローアップを加えた形で書いていきます。
というのも、実は5月頭にYouTubeでナス栽培完全ガイドを公開したばかりで、1時間しっかりとナスの解説をしているからです。
もちろんこの回答だけでもわかりますが、よりよい技術向上と成功のために動画も合わせてご覧いただきたいと思います。
朝晩2回の水やりをきっちり行ったということでしたので、僕が実際にどのように灌水しているかを参考までにYouTubeのURLを貼っておきます。
(18:23 重要な水やり手段 からの解説になります)
上記の動画では、1株から100本収穫するための具体的な水やりの量と手段を1時間の動画で解説しています。
これ以上を目指す場合は4本仕立ての方法を学ぶ必要がありますので、次の目安として1株から300本収穫できる方に学んでくださいね。
動画の話はここまでです。
さて、問題なのは、「水が足りているかどうか?」よりも良い実がとれていないことですよね…!
根本的に、質問いただいた「固いナス、ツヤがいまいち、変形」が出る場合、水と肥料が上手くいっていません。
具体的には「水はやったのだが、うまくいっていない」ということになるので、そこを解説しますね。
まず、ナスは水で育つのですが、実際のところ「水で肥料を吸えている状態で毎日【葉、実、茎】がどんどん伸びているのが正解」です。
なので、変形の実が多発している場合は水を与えていても、肥料が吸えない状況が発生しているということになるんです。
解決するための条件的には
①実が成る頃には通路に水があふれるほど、の量を与える
②同時に肥料が切れないように、液肥、追肥で2週間に一回の目安で毎日伸びている状況を確認しながら与えていく
という感じになります。
〇問題点は水やりの見極めですね
悩みが明確になっていますね。素晴らしいと思います。
では水が吸えていない状況とは…
①水の量が圧倒的に足りていない(通路に水が溜まるくらい。乾燥を防ぐ、では全然足りていない)
②畝は25㎝以上たっているかどうか(よほどの砂のような過剰に乾く場所でなければ、動画でもでてくる天場100cm、高さ25cm以上の畝が必要になります。根の確保のためで、収穫量を増やしたい場合は根域を減らすと致命的です)。
③水をやるための潅水パイプ、チューブは入っているか?(ジョウロでは無理です)
④肥料が足りていない。肥料は8-8-8よりは農協で出されている地域の暦の肥料を参考に使い、手に入るのであれば「ジシアン入り肥料」を追肥に積極的に使う(肥切れが起きにくく、成功しやすくなります)。
①~④ができていればナス自体は成長していきます。
ただ、上記を行っていても上手くいかないトラブルが予測されるので次の項目で解説していきますね
〇実の固いもの、ツヤのイマイチなもの、変形の原因は肥料の不足と、アザミウマ被害が問題点として大きい
一番悩まれている
・実の固いもの
・ツヤのイマイチなもの
・変形の原因
こちらは肥料の不足とアザミウマのトラブルです。
まず肥料については上記の項目で解説していますので、手に入る肥料を使い、「毎日成長できている」状態であれば問題ありません。10月の収穫終了までは行けます。
で、肥料をやっても伸びなくなる原因がアザミウマやダニです。
新芽やナスのヘタから加害されて白くなっていたり、茶色になっていればアザミウマです。
こうなると、今まで肥料が効いていて伸びていっても、ダニとアザミウマがいるだけで全然肥料が効かなくなるほどの悪い症状になってしまいます。
その場合、予防としてアドマイヤー1粒剤、対処として農薬のローテーションで対処していくことで、収まるまで少しかかりますがまたナスの株は復活してきます。
ここで注意が必要なのですが、1度新芽が止まるくらいの加害をうけると復活まで1ヶ月近くかかるため、収穫期間が4ヶ月ほどの露地の場合、致命的ですので早めに対処し、アザミウマの密度が低い〜いない状態で維持できるのが大切です
また、ナスの病気はすすカビ病うどん粉病、菌核病などが主流で、トップジン、ストロビー、アフェットのローテーションで防げますので、出来てきたまっすぐの実が腐ることも防げます。
ここまででまっすぐなつやつやのナスを収穫するためのかなりの基本の解説ができたと思います。
実際にどのように行うかは動画での解説で全て公開しているので...気になったら見てみてください。
より具体的な質問があれば、YouTubeのナス完全ガイドのほうでも構いませんので、ご質問ください
うまくいくことをお祈りしております