父が高齢で働けなくなり、家業である和牛の肥育農家を継ぐことになりました。
経験の浅さからか、牛が熱を出したことに気づかずに死亡させてしまうケースが増えて困っています。
2021年に入って4頭もの牛を死亡させてしまいました。心不全や、お腹にガスがたまって内臓を圧迫させてしまうなど死因はさまざまです。
しかし、獣医さんに診断してもらったところ、牛が熱を出した時の対処の遅れが要因となっている可能性が高いと言われました。
父や周りの肥育農家さんは「牛がエサを食べていないとき」「牛の耳が垂れているとき」で熱を出した牛を判断しているそうです。
しかし、私の牛舎では4頭を1つの牛床に入れているので、エサを食べていない牛が見分けにくい状況です。
また、耳が極端に短い牛もいるため、耳が垂れているかどうかの判断が困難な牛もいます。
熱を出した際に早急な対応をしたいので、見分ける方法やコツがあればぜひ教えてください。
(宮崎県・佐伯翔太さん/仮名・20代)
一條俊浩
岩手大学 農学部 共同獣医学科 准教授
体温計を使って正確な体温を測る事が早期発見に繋がります
熱を測る方法は、体温計を使うことが基本となります。
ツノや体を触って熱があるかを確認するベテラン農家さんもいますが、正確を期するには体温を測定する方法が一番です。
最近では、非接触型の体温計やサーモカメラを使う方法もありますが、外気温や日光の照射、風の有無により影響を受けるので、正確な体温を測定できないケースもあります。
やはり面倒でも、少しおかしいなと感じたら、接触型の体温計で測定することが、熱を出した牛を発見する最も良い方法と言えるでしょう。
もうひとつ、肥育牛で体温が上昇する病気に、風邪などの感染症のほかに急性肝炎があります。
原因は配合飼料の過食、わらなどの粗飼料不足が原因で、第一胃の異常発酵により毒素が発生して発熱が起こる病気です。
体温の上昇は40度以上になり、食欲減退や下痢などの症状が出てしまいます。
迅速な対応が必要となるので、事故や病気を未然に防ぐためにも、接触型の体温計を使って正確な体温測定をしてみてはいかがでしょうか。