宮崎県で和牛農家を営んでいます。競り市で買った子牛を、18ヵ月間育てて肉牛として出荷をしている肥育農家です。
エサを前期、中期、後期と分けて与えていますが、エサの切り替えタイミングで体調を崩す牛が多く困っています。
前期は牛のお腹を作るエサ、中期は牛の筋肉を作るエサ、後期はビタミンを与えず肉質を良くするエサを与えています。
すべて6ヵ月で切り替えていますが、一気に切り替えるのではなく、時間をかけて徐々に行っています。
特に中期から後期への切り替え時が難しく、ビタミン欠乏により足を腫れさせてそのまま立てなくなる牛もいます。
病気を持った牛として出荷しなければならないケースもあり、大きな損失になる事も多いです。
体調を崩させないようにする切り替えのコツや、対策方法があれば教えてほしいです。
(宮崎県・長友輝夫さん/仮名・50代)
一條俊浩
岩手大学 農学部 共同獣医学科 准教授
ビタミンAの適正なコントロールが予防に繋がります
肥育牛は、肉質を良くする(サシを入れる、脂肪交雑を良くする)目的でビタミンAを低下させる配合飼料を与えます。
この時、行き過ぎたビタミンA欠乏症が発生することがあります。
これをそのままにしておくと、感染症や消化器病が増えることがあるので注意しなければなりません。
予防としてはビタミンAの適正なコントロールが有効です。
しかし、肥育牛の場合では、体脂肪が増加するにつれ脂肪細胞の中にビタミンAが取り込まれると言う専門家もいます。
特に、最近の増体型の牛には少し多めにビタミンAが必要です。
ビタミンの給与がどうしても不安な場合は、血液検査を行って、肥育時期に合ったビタミン濃度になっているか確認してみると参考になります。
最近では検査料金も比較的安価になっているので、心配であれば検査を行ってみてください。