多面的機能支払交付金の環境保全活動で、集落内の田んぼの一角で景観作物としてコスモスを育てています。
しかし、毎年雑草に悩まされています。
今年も活動組織の役員で種撒きをしました。全面に石灰を撒いてトラクターで耕うんし、それから種をすじ撒きしています。
すじ撒きした列の間は、管理機をかけて生えてきた雑草をすき込んでいるのですが、成長してきたコスモス畑に生えてくる雑草(スギナやシロザ、ヒメジョオン、ノボロギクなど)は手作業で抜いています。
これが夏の暑い時期には結構大変で、高齢の役員からはいつも不平を言われています。
除草剤はコスモスにかかってしまうから使うわけにもいかず、こうした雑草を防ぐよい方法はないものでしょうか?
(岐阜県・野中一哉さん/仮名・60代)
NPO法人 緑地雑草科学研究所
NPO法人 緑地雑草科学研究所
雑草(スギナ、シロザ、ヒメジョオン、ノボロギク)を防ぐには、優先順位をつけて個々に対策を行なってください
今回のケースでは、どのタイミングで耕起やコスモスの播種を行うかが、雑草管理の手間に大きく影響します。
ご相談者さんが管理されているコスモス畑に4種類の雑草が生えているということなので、種類ごとにお話ししていきます。
まず、トクサ類に属するスギナの場合、耕起することで地下茎を分断し、かえって個体数を増やしてしまうことがあります。
そこで、スギナが発生している圃場で耕起を行う際は、事前に薬剤処理をしておくことで、個体数を増やさないことが重要です。使う薬剤は、散布すると数日から1週間で植物に移行する茎葉処理剤を使います。
次にアカザ科のシロザですが、例年3月以降の耕起後にいっせいに発芽する性質があります。発芽したシロザを薬剤で処理した後にコスモスを播種することで、その後に発生する個体の数を低減させることができます。
キク科のヒメジョオンについては、前の年に出芽して越年したものが5月から6月にかけて開花しますので、コスモスを播種する前の茎葉処理でおおむね対処できると思います。
同じくキク科のノボロギクは、ほぼ1年を通して出芽し、短い期間で花を咲かせて実を作ります。そのため、対策としては、コスモス播種前の茎葉処理剤の散布と、播種後の土壌処理剤が有効です。
なお、茎葉処理剤を散布した直後は、土壌への残留があります。コスモスの生育状況によっては、土壌処理剤が影響することもありますので、薬剤の施用時期には十分な注意が必要です。
今回、ご相談のあった4草種について対策を述べましたが、種類によって対策は同じではありませんので、発生数などに応じて優先順位をつけて対策を行なってください。