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ブロッコリーを栽培していますが、ネコブセンチュウに困っています

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ブロッコリーを栽培していますが、ネコブセンチュウに困っています

愛知県で、ブロッコリーを中心に育てています。

水田を転換した畑で栽培を始めたところ、2年半程度でネコブセンチュウがついてしまいました。

あらかじめ、いろいろな病気に効果がある「フロンサイド粉剤」を10アールあたり40kg、土壌に混ぜましたが、ネコブセンチュウを完全に押さえることはできておりません。

今後は尿素や硝安の水溶液を葉面散布しようと考えていますが、ほかに最適な対処方法があれば教えてください。
(愛知県・五十嵐花さん/仮名・30代)

豊田剛己

東京農工大学 農学研究院 生物システム科学部門 教授

ネコブカビかネコブセンチュウかで殺菌剤の効果に違いがあるので、土壌を休ませるか、輪作や緑肥がおすすめです

水田転換畑ということで、土壌伝染性の病原菌や植物寄生性線虫はほとんど生息していないと考えられますが、「ネコブセンチュウがついてしまった」ということであれば、おそらくネコブセンチュウの影響で、根の奇形、コブが見られた、ということだと理解しました。

栽培を始めて2年半で発生したということであれば、ご相談者さんが苗を購入している場合には苗を介して、播種であれば風塵などによって、周囲のどこからか病原体が侵入したものと推察され、病気の脅威を改めて感じます。

アブラナ科の作物の根に見られるコブの原因は、ネコブカビとネコブセンチュウの両方が考えられます。

ネコブカビの方だとすると、巨大なコブができて、根の発達が極端に抑制されることから、被害株は手で簡単に引っこぬくことができます。

一方、ネコブセンチュウが原因の場合、コブはせいぜい数センチとそれほど大きくはありません。

地下の根もそれなりに発達するので、スコップなどで土を掘り起こさないと、簡単に抜けませんから、ネコブカビとの区別ができると思います。

もし、顕微鏡を使うことができる環境でしたら、根にできたコブをつぶして顕微鏡で観察してみると、前者のネコブカビであれば、多くの胞子が見られるでしょう。

ご相談者さんが使われている農薬「フロンサイド」は、主にネコブカビ防除に使われる殺菌剤なので、後者のネコブセンチュウにはまったく効果がありません。

ご質問の「センチュウ被害を完全には抑えられなかった」ということは、ある程度は防除効果が見られたということですので、今回見られた症状の原因は、センチュウではなくネコブカビの可能性が高いです。

というのも、ブロッコリー残渣には土壌にすき込むと、ネコブセンチュウ害を抑制できることが知られているからです。

今回、収穫残渣をどのように処理されたのかは書かれておりませんでしたが、ある程度の作物残渣は必ず土壌に残ってすき込まれますので、ブロッコリー栽培ではネコブセンチュウ抑制効果が期待できるからです。

尿素や硝安の水溶液の葉面散布を検討中とありましたが、残念ながら、これらはネコブカビにもネコブセンチュウに対しても直接の防除効果はありません。

おそらく、根にできたこぶの影響で、養分吸収がおさえられることから、葉面散布によって葉から直接養分を吸収させようというお考えだと推察しております。

確かに原理的には理解できるのですが、実際には作物の養分を葉から吸収させるのはかなり難しいと思います。

私自身も何回か試みましたが、急激な環境変化によって葉焼けが起きやすいことから、尿素の葉面散布でセンチュウ害を抑制することはうまくいきませんでした。

では、どんな対策を取ればいいでしょうか?

ご相談の内容から、病原菌もしくはセンチュウの密度がかなりが高くなっていると考えられるため、土壌を休ませるか、輪作を検討するか、もしくは緑肥を栽培するなどして、病原体の密度を低下させるのを待つ必要があります。

輪作する場合、ネコブカビはアブラナ科野菜でしか増えませんので、それ以外の作物を栽培すると良いでしょう。

一方、ネコブセンチュウの場合には、センチュウ抑制効果が期待されるマメ科の「クロタラリア」や、キク科の「マリーゴールド」を緑肥として栽培すると、センチュウの生息密度が下がることが知られています。

ネコブカビは、土壌の含有水分が増えると、感染しやすくなります。

そこで緑肥を栽培してすき込むことで、土壌の隙間が増えて、水はけが良くなりますので、ネコブセンチュウ対策で利用する緑肥がネコブカビの対策にもなって一石二鳥です。

薬剤防除としては、「フロンサイド」をお使いとのことですが、ネコブカビの場合は、殺菌成分があるフルスルファミド系の「ネビジン粉剤」は、安定した高い効果が期待されます。

また、ネコブセンチュウの場合、「ネマトリンエース粒剤」や「ビーラム粒剤」の効果も高いと言われています。

もし、消毒できる環境でしたら、太陽熱消毒、あるいは、燻蒸剤を用いた土壌消毒を行うのも選択肢の1つです。

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