野菜作りをしている父の仕事を継ぐことになり、5年ほど父の手伝いをしています。
仕事にもだんだん慣れてきたので、以前からやりたかったブルーベリーに挑戦してみようと考えているところです。
しかし、周りにはブルーベリーを手掛けている農家がいないので、なかなか相談できる相手がいません。もちろん父もブルーベリーのことはよくわからない状況です。
父は旬の野菜を栽培しながら、サツマイモ作りに力を入れてきたため、決して土壌の地力が高いとはいえません。
まずは土台となる土壌の改善から始めようと調べてみると、ブルーベリー栽培しやすい土壌にするためには、硫黄粉と油粕の組み合わせが大切だと知りました。
しかし、どう組み合わせて使っていいのかがわかりません。ぜひアドバイスをお願いします。
(千葉県・篠崎さん/仮名・30代)
八木拓美
ローズベリーファーム
ブルーベリー栽培に効果はあると思われますが、他の部分で優先順位の高い作業があるように思います
冒頭からすいません。自分も酒粕はあまり聞いたことがなく憶測の話になります。
おそらく巷の発酵についての話題で、酒粕を使うと土壌の微生物の類を増やす効果があるとか、アミノ酸を付加するなどといった話を見聞きされたのではないかと思います。
文献では確かに有用な資材とうたっている研究も見受けられますが、営農されている地域で、大量に廃棄される酒粕があるなど、安価に入手しやすい環境であれば、使ってみるのもいいでしょう。
しかし、わざわざ購入したり、調達する場合は、おそらくコストがかなり高くなってしまうのではないかと推察しています。
それならば、酒粕と同じ施用量や効能で、もっとコストの安い資材が存在するのではないでしょうか?
ただ酒粕を土壌改良に使っているのは、すごくいい感じだとは思うので、実際の効能とは離れて、作ったブルーベリーを宣伝する効果はあるのかな?などと推測しています。
ブルーベリーを「どのような資材で、どのように育てていきたいのか」を明確にしたうえで、その資材の効能をきちんと調べてみて施肥してみてはいかがでしょうか?
さて、硫黄についてですが、こちらは一般社団法人「日本ブルーベリー協会」でも取次販売をしておりますが、あくまでも土壌のpH値を下げて、酸性にするための土壌改良剤であって、肥料ではありません。
ブルーベリーはツツジ科の植物です。多くの植物がアルカリ土壌を好むのに対し、酸性土壌を好みます。
ただ、アルカリだとまったく育たないという訳ではなく、環境や土壌の水はけの状態によっては、すごく育つこともあったりします。
また、硫黄は農薬なのでは?という見解もあるので、無農薬栽培を行うブルーベリー農家さんでは使わないケースもあります。
効果はあると思われますが、それ以上にピートモスなどをふんだんに使って、株回りの水はけを良くしたりするなど、他の部分で優先順位の高い作業があるように思います。
ちなみに、硫黄粉は、価格が結構高い資材です。
少し話はそれますが、よりよい株を育てたいと思うのは当たり前です。ですが、ことブルーベリーに関しては最低限度の事をしていれば、そこそこ育ちます。
100点の果実を作ることを目指すより、80点の果実分の労力で、それ以外をマーケティングのような自分の果実をどのように売っていくかを考えた方がいいと思います。