就農してまだ3年目の農家です。野菜や果物など、いろいろな作物の栽培に手探りながら挑戦しているところです。
ベリー類が好きなので、ブルーベリーを露地栽培で育てています。育てているのはハイブッシュ系品種とラビットアイ系品種の2種類です。
土に関しては、農薬や除草剤をできるだけ使わず、油カスなどの有機物を中心に加え、化学肥料は極力減らした栽培を行っています。
完全な有機栽培ではありませんが、今後はできるだけ有機に近づけていきたいと考えています。
最初の1〜2年は育てている途中で葉に小さい赤い斑点がブツブツと出たり、葉っぱの際の部分が赤茶色に変色することがありました。
しかし、葉っぱや茎はいたって元気そうで、気がつくと色が徐々に薄くなって、収穫にもまったく影響はありませんでした。
調べてみると、病気や虫の影響ではなく、窒素不足やストレスが原因だったので安心していたのですが、3年目は少し様子が違って、以下のような症状が現れました。
・いつもより大きめ(2〜3mm程度)の輪
・まだら赤茶色の実(全体の2割ほど)
明らかに病気だと思われますが、来年に向けてどのように対処すればいいのでしょうか?
(神奈川県・佐々木さん/仮名・20代)
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
ブルーベリー赤色輪点ウイルス病やサビ病の疑いがあります。栽培環境を見直してみましょう
ご相談者さんがお送り下さった画像は、「葉の表面」のみでしたが、裏面には異常(病徴)はありませんでしたか?
写真を拝見したところ「ブルーベリー赤色輪点ウイルス病」が疑われます。本病は葉の表面のみに病徴を示し、裏面には症状が認められません。
もし、ご相談者さんのブルーベリーの葉の裏面にも症状が認められるようであれば、サビ病の可能性もあります。サビ病の場合、病徴がひどければ早期に落葉する傾向がみられます。
「ブルーベリー赤色輪点ウイルス病」は、"Blueberry red ringspot virus (BRRV) "と言われるウイルス病です。
病徴は、葉や、その年に伸びた新しい枝(新梢)、そして果実に現れます。
またこの病気は、接ぎ木によって広がる「接木伝染性ウイルス」で、汁液伝染はしないといわれています。
したがって、苗木の頃から病原菌を保毒しており、樹勢が弱った樹などで発病してきたのではないかと考えられます。
ご存じのとおり、ブルーベリーには、栽培に適した気候風土によって「ハイブッシュブルーベリー」「ラビットアイブルーベリー」と野生種で黒紫色をした「ローブッシュブルーベリー」の3種類があります。
このうち、果実が熟す前にウサギの眼のようなピンク色になることからラビットアイブルーベリーと呼ばれる暖地向けの品種は、赤色輪点ウイルス病に対する抵抗性をもつ種類が多いと考えられている反面、ハイブッシュブルーベリーにはこの病気に対する抵抗性がない(感受性)品種が多いといわれています。
ご相談者さんは、ハイブッシュブルーベリーもラビットアイブルーベリーも栽培されているようですが、写真のような病徴は、園内のすべての樹木で確認されていますでしょうか?
それとも、特定の樹に限られているでしょうか?
あくまで推測にもとづく一般論になりますが、ブルーベリー赤色輪点ウイルス病に感染しているのであれば、ご相談者さまの農園では、ハイブッシュブルーベリーの樹で発病が多いと考えられます。
原因が、ブルーベリー赤色輪点ウイルス病だった場合、ウイルス病ですので、薬剤による防除は難しく、栽培環境を見直していく耕種的な対応をとらざるを得ないと考えます。
冬の間、ブルーベリーは落葉していますので、園内に落葉が残っていれば、園外に持ち出して焼却処分していただくようお願い致します。
次に、今後の対応としましては、春の発芽前に施肥を行い、十分に樹体を健全な状態に保つようにして下さい。
樹勢が弱ってくると病気も発病しやすくなります。
その後、開花結実した際は、あまり多くは結実させない方が良いでしょう。
多く結実させると樹に負担をかけますので、可能な限り負担をかけないように栽培された方が良いかと考えます。
私が思い当たる点をいくつか書かせて頂きましたが、現場の状況を把握しておりませんので、的外れなことを書いている場合も多々あるかと思います。その際はご容赦下さい。
ご相談者様の方で、何か参考になるところがありましたら、取り組んで頂けますと幸いです。
上記の回答につきまして、何かご不明な点がありましたら、遠慮なさらずご連絡下さい。